43話:ロッカーに2人きり
いつものように放課後、善永と宮ケ瀬は、ロッカーに閉じ込められていた。
「おい、宮ケ瀬。俺たち、今どうなっているんだ?」
「私たちは、この狭い空間で、愛を確かめ合っているのですわ!」
「聞いた俺が馬鹿だった。」
ロッカーは狭い。2人は体を密着させていた。なぎさが見たらどう思うだろうか。
(殺される…なぜこんなことになっちまったんだ!)
遡ること10分前―
善永と宮ケ瀬は、小腹が空いたのでコンビニに向かおうと、下駄箱にいた。2人が靴を履こうとしたとき、一人の女子生徒に触れられた。
「やっほー!2人とも!」
「誰?」
善永はその女子生徒を知らない。しかし、「生徒会」の腕章を見て、表情を険しくした。
「そんな顔しないでよ!私は生徒会二年、谷三子!よろしくね!」
谷は赤いオーラを発していた。
「お前!」
―そして現在、気がついたらロッカーに閉じ込められていたのである。
「あいつの兆能力は『テレポート』なのか!?」
「テレポートでしたら、あの人も一緒に来るはずですわ!これは、触れたものを任意の場所に瞬間移動させる兆能力、『タッチ・テレポート』ですわ!」
ロッカーの様子を、遠くから谷が見ている。
(校則第125条…『校内でいかがわしい行為をした者、無条件で退学とする也』…何も暴力的な手段でなくとも、クイズ研究会の人間を排除することができる!あとは、私以外の人間がロッカーを開ければ!)
2人はなんとか体を動かすが、ロッカーが揺れるだけで、脱出できる気配はない。
「ちくしょう!どう脱出する!?早く脱出したい!」
「私はこのままでもいいですわ…」
「だから早く脱出したいんだよ!」
善永が青いオーラを発しながら、目をつむる。ロッカーの外に視界を設置するが、現在、ロッカーの近くに誰もいない。
(これは好都合だ。外からロッカーにアイビームをぶつけ、それでロッカーを開ける!)
そのとき、どこからか楽しげな声が聞こえてきた。女子生徒の軍団がやってきたのだ。
(くそ!ダメだ!)
女子生徒の何人かは、ロッカーの前で立ち止まり、そこで話を始めた。
「な、なんで、そこで話するんだよ!」
善永は、小声で文句を言う。答えは宮ケ瀬が示した。
「ここで話をする人、結構いるのですわ!」
2人がひそひそ話していると、善永が動いてしまった。それによって、ロッカーが少し揺れた。
がたっ
女子生徒の一人が反応する。
「ん?今、ロッカーから音した?」
「気のせいでしょ。それよりも…」
女子生徒は談笑を再開した。
「ほっ。なんとかな…ってはないな。早くどっか行ってくんねーかな…」
善永はぼそっと呟く。しばらくして、宮ケ瀬が何かを閃いた。
「そうだ!八ッ場さんですわ!あの人のエニィウェア・フィッシングで私たちを釣っていただきましょう!」
「そうか!aibo!」
善永は、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンに話しかける。
『ごきげんよう。善永さん。』
「電話だ!八ッ場さんに電話をかけてくれ!」
『わかりました。八ッ場さんに電話をかけます。』
しばらく待っていると、八ッ場が電話に出た。
「おっす、善永。お前から電話なんて、珍しいこともあるもんだな。」
「八ッ場!緊急だ!俺と宮ケ瀬を釣ってくれ!」
「は?まあいいけど。どこにいんだ?」
八ッ場は困惑していたが、承諾した。
「下駄箱近くのロッカーだ!あそこに閉じ込められた。」
「あそこかー。やってみるよ。」
しばらくすると、ロッカー内に釣り針が出現した。
「よし!あとは釣られるだけだ!」
善永が制服の袖を釣り針に引っかける。
善永の挑戦状:1973年前後の日本において同時多発的に発生した、駅のロッカーなどに遺棄された新生児のことを何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:『英雄』




