4話:ボクサーの兆能力
善永は、ポッケに入れていたスマートフォンに呼びかける。
「aibo!出番だぜ!」
『お呼びでしょうか。善永さん。』
善永の呼びかけに、aiboが応える。
「攻撃を当てると、ペンキをまき散らす兆能力は?」
『それは、『ペインティング』でしょう。続けて、対処法もお聞きしますか?』
「いや、いい!助かったぜ!」
『お役に立てて、幸いです。』
篠原が口を開く。
「いいのか?対処法を聞かなくても。」
「いいさ。あんたのパンチをかわせばいいだけの話だからな。」
善永はにやりとしながら答えた。篠原は後ずさりして善永と距離をとる。
「ならば、これはどう対処するかな?」
突然篠原は、リングのマットにワンツーパンチを当てる。
『これはどういうことだ!?篠原さん、マットに攻撃している!』
『キャンバスに絵でも描きたかったのでしょう。』
篠原は笑っている。
「これがボクシング・ペインティングだ!」
飛び散ったペンキは、善永の足にかかった。
「あー!汚れた!」
善永は足を上げようとする。しかし、上がらない。
「足が!」
リングの下にいたなぎさが呟いた。
「ペインティングが出すペンキは、自由に粘度を変えることができる!あれじゃあ、えいちゃんはサンドバックだよ!」
篠原がじりじりと詰め寄る。
『善永さん、動けない!これではかわせる攻撃もかわせないぞ!』
「おらぁ!」
善永は防御の体勢をとっていたが、腹部を守ることができていなかった。篠原はそこをついて、ボディブローを決める。
「がはっ!」
『これは痛い!篠原さんのボディブローが決まり続ける!』
「えいちゃん!もうやめよう!」
なぎさが心配そうに叫ぶ。しかし、善永は音を上げない。
「まだだ!まだ戦える!」
「斎藤さん!タオルの準備を!」
なぎさがそう言うと、一太はタオルを手に持った。ボクシングにおいて、セコンドがタオルをリングに投げれば、降参を意味するのだ。
「絶対に投げるなよ!俺は絶対に諦めない!」
ボディブローを受けながら善永が叫ぶ。
「気に入った。その根性は、ボクシングで使える。」
善永はにやっとした。
「あんたのその素早さは、クイズの早押しで使えるぜ。」
「うるせーな!」
篠原は強烈な右ストレートを善永の顔面にぶつけた。その場にいた全員が目を伏せるほど、強烈だった。
「えいちゃん!」
なぎさは目を伏せていた。
牛滋は拳を放す。そのとき、腹部に強烈な痛みをおぼえた。
「!ぐはっ!」
善永のボディブローが決まったのである。
『な、なんということだ!篠原さんの右ストレートをもろにくらいながら、善永さんがカウンターのボディブローをぶつけたぞ!』
その腕には、オーラが纏われていた。それを見た荘介が驚く。
「壱極集中!体の一点にオーラを集中させることで、パンチやキックなどの攻撃力を高める技術!」
「そんな…馬鹿な…」
篠原は腹部を押さえる。それで隙ができた顔面に、善永は壱極集中の右ストレートをぶつけた。篠原はリング外まで吹き飛ばされ。そのまま意識を失った。
『な、なんとー!善永さんが勝ちました!オーラを纏わせて攻撃力を高めたのです!あっぱれ!』
『これは、いい記事が書けそうだ!早速部室に向かわねば!』
篠原が意識を失ったことで、兆能力が解除された。善永の足が解放される。
「よし!まずは一人だ!」
善永は、なぎさや荘介に向けてVサインをしていた。呆れや喜びなど、それぞれの反応をしていた。
こうして、篠原をクイズ研究会に引き入れることに成功したのである。
善永の挑戦状:日本で初めて頭をモヒカン刈りにした人物とされる、「ボクシング・ペインティング」で有名な芸術家は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:ジャクソン・ポロック




