2話:ボクシング部
次の日の放課後、善永たちはボクシング部の部室を訪ねていた。
部室の中にはボロボロのリングがあった。そこに、一人の男子生徒が佇んでいる。
「大体話は理解した。」
「それじゃあ…!」
「馬鹿野郎。理解しただけだ。納得はしていない。」
男子生徒は断ろうとしているようだ。無理もない。急にやってきては、廃部を防ぐためにクイズ研究会に入部しろというのだ。生徒会のお触書に関係なく強引な話である。
「お前ら、失礼だとは思わないのか?急に訪問して、そんな話をするとは。」
あまりにも正論すぎて、善永は何も言い返せなかった。そこに、資料に目を通していた一太が口を開く。
「ボクシング部部長、篠原牛滋さん。とはいえですよ。ボクシング部も廃部寸前なのですよ。実績は文句なしですが、部員が足りない。現在の部員数は9名な上に、その内8人は幽霊部員。いつ、クイズ研究会のようになってもおかしくありません。ここは、廃部寸前の部活同士手を取り合うのがよいかと。」
「ちょっと待て!お前、生徒会の人間なんだろう!?なんで、こんな奴らに肩入れするんだ!?」
篠原が困惑している。一太は即答した。
「男の約束です。」
「は、はあ!?」
篠原はますます困惑した。善永が口を開いた。
「頼みます!俺たちもボクシング部に入部しますから!」
「そういう問題じゃ…」
「それでは、こういうのはどうでしょう?」
荘介が一歩前に出てきた。
「今から、リングの上で決めましょう。こちらが勝てば、篠原さんにはクイズ研究会に入ってもらいます。負ければ、その話は無しです。逆に、篠原さんが勝っても負けても、俺たちはボクシング部に入部します。これでどうでしょう?」
篠原は考え込んだ。
「確かに、条件だけで言えば悪くない。だがなぁ…」
やはり決めあぐねていた。そんなとき、部室の扉が開き、2人の生徒が入ってきた。
「誰だお前ら!?」
「失礼します!放送部です!」
一人は放送部の部員であった。
「二太郎、来ましたか。」
「はい!お兄さんの頼みですから、来ないわけにはいきません!」
「お兄さん!?」
どうも、放送部員は一太の弟らしい。
「紹介します。弟の二太郎です。」
「二太郎です!よろしくお願いします!」
善永も驚いた。
「あの、斎藤さん、どういうことですか?」
「部活狩りって面白そうじゃないですか。せっかくなんで、校内放送しようと思いまして。」
「いいんですか?先生にはどう説明を…」
「ああ、生徒会役員の私であれば容易に説得できますよ。」
「なんだよ…それ…」
篠原は困惑しっぱなしである。なぎさが尋ねる。
「あの、そちらの人は?」
「ああ、この人は新聞部の人ですよ!」
「どうも!新聞部の河元信正でーす!特ダネの予感がして駆けつけました!」
篠原は頭を抱える。
「なんかやる前提になってないか!?」
その次に、篠原はリングに上がった。
「わかった!リングの上で決めよう!ただし、一回だけだ!ルールは、兆能力ありのレギュレーションでいいな?さあ、誰がやる!」
善永が嬉しそうに答えた。
「俺だ!感謝します!篠原先輩!」
善永がリングに上がろうとする。それを、一太が止める。
「ちょっと待ってください。善永君。」
「なんですか?」
「スマートフォンを置きなさい。これはスポーツです。aiboを使うのはアンフェアでしょう。」
善永は、そうだな、と呟きながらスマートフォンを取り出そうとする。
「構わない。使っても。」
「え!?」
意外なことに、篠原がスマートフォンの使用を許可した。
「条件としては、こっちが有利なんだ。そんぐらいは許してやるさ。」
「後で言い訳にするのは無しですよ。」
善永がスマートフォンを持ちながらリングに上がる。
「ああ、しないさ。そもそも負けねえし。」
こうして、善永と篠原による、兆能力ありボクシング対決が始まるのであった!
善永の挑戦状:最初は山口一と名乗っていた、新選組三番隊組長を務めた人物は誰?
前回の『善永の挑戦状』答え:ゼーベック効果




