12話:粘り強い力士
善永はアイビームを発動し、本田の足を狙い撃つ。
『どういうことだ!?どこからかビームが飛んできて、本田さんの足を狙う!』
(アイビーム…設置した視界からビームを放つことができる技…とても便利だ。)
本田はそれをかわしている。
(普通にがっぷり四つで戦えば、普通に負ける。ならば、遠くから攻撃して倒せばいいだけだ。もはや相撲ではないがな。)
「おっとっと。」
本田はビームを俊敏にかわし続ける。
「素早いな!」
「力士がとろいものだと思ったか?」
本田が善永に急接近する。善永は動かずじっとしている。
『本田さん、善永さんに急突進だ!善永さんは動けない!』
『蛇に睨まれた蛙です!』
本田は、善永の目前に迫り、手を伸ばそうとする。
「まんまと引っかかったな。」
「!」
本田の手が善永に触れそうになったとき、足元にビームが飛んできた。
「しまった!」
本田は体勢を崩す。善永に掴みかかろうと前のめりになっていたところにビームを撃たれたのだ。それをかわそうとすれば当然体勢を崩す。善永は前倒れになりそうな本田を避ける。
「俺の勝ちだな。」
が、本田の体は土俵につく寸前で止まっていた。斜めの状態で立っているのである。
「何!?」
『本田さん!倒れない!まるで、マイケル・ジャクソンのゼロ・グラヴィティだ!』
二太郎がそう言ったのを聞いた影響か、本田はマイケル・ジャクソンのように起き上がった。
「粘り強いのさ!俺は!」
「aibo!」
『お呼びでしょうか。善永さん。』
善永はズボンのポケットに入れていたスマートフォンに呼びかける。
「斜めの状態で立つことができる兆能力ってあるのか!?」
『そんなもの、ありません。』
「はははははは!」
本田は大笑いしていた。
「俺の兆能力は「摸地模致」だ!自分の体を餅に変えることができる!」
「あんた!教えていいのか!?」
本田は腕を組みながら即答した。
「もちろん!」
「実直な人だぜ…」
善永が呆れていたところ、本田は続けた。
「なんせ、ばれたところで勝敗に影響しないからな!」
「言ってくれるぜ!」
善永は再びビームで攻撃する。
「ははは!何度やっても…!」
本田はあることに気がつき、ビームをかわす。
「ほう、廻しを狙ってくるか。いわゆる不浄負けを狙っているな?そうはいかんぞ!」
本田は再び善永の方に向かっていく。善永はため息をついている。
「やれやれ、あんたは攻撃も実直なんだよ。」
そのとき、善永の足が何かに巻きつかれた。餅だ。
「!」
「これでも実直か?」
本田はにやりとしながら言う。その手は餅のように伸びていた。
『本田さん!手を餅のように伸ばして、善永さんを捉えた!』
『今度こそ動けなくなりました!』
本田は伸ばした餅を縮めながら、善永に近づいていく。本田は伸ばしていない方の手で、善永に張り手しようとする。それをもろに食らえば、善永は間違いなく土俵外に追い出される。
「えいちゃん!」
見ていたなぎさが思わず声をあげた。
「安心しろ…なぎさ…俺はこんなところで負けるような奴じゃない!」
善永は張り手をかわしながら、身をかがめた。
「!」
善永はそのまま本田の両足、それも膝裏に手を回す。
「うおおおおおおお!」
善永は、腕にオーラを纏わせつつ、気力を振り絞って本田を持ち上げる。
『善永さん!本田さんの足に手を回して、持ち上げたぞ!』
善永は体を反らし、そのまま本田を後ろに投げ飛ばした。
「ぐはあ!」
本田は土俵の外に投げ出される。行司の荘介が口をぱくぱくさせながら、気を取り戻し、軍配を掲げる。
「えーと、善永の勝ち!」
道場内は歓声に溢れた。
『見ましたか!後ろに反り投げましたよ!』
『あれは、居反りですね!大相撲では滅多に見られない、珍しい決まり手です!』
善永が倒れた本田に手を差し伸べる。
「体を餅に変えて粘るのなら、地面に接さないようにすればよかったんですよ。」
本田は体を起き上がらせる。
「がははは。参ったよ!俺の負けだ。流石だ!」
それでも本田は清々しい表情をしている。差し伸べられた手をとった。新しいクイズ研究会の部員が追加された。これで、必要な部員数は残り3名となった。
善永の挑戦状:相手の懐に潜り込み、両手で相手の膝裏を抱え、後ろに反り投げる相撲の決まり手を何という?
前回の『善永の挑戦状』答え:明石志賀之助




