10話:仲直り
「そ、それは気が早すぎるよ!」
なぎさは赤面して、あたふたしている。それでも善永は続けた。
「もうお前の気持ちを無視しない。部室のこともすっぱり諦めるさ。」
「!」
なぎさは固まった。
「ダメだよ!」
「なぎさ?」
なぎさが強く言うのを聞いて、善永は動揺する。
「理由を教えてくれて、嬉しい!それなら、僕も応援できる!」
なぎさは笑顔で言った。それを見た善永の表情も明るくなる。
「それじゃあ…!」
「うん!試合、やろうよ!…でも、僕は…」
「わかってる。お前は、兆能力を使うのがあまり好きじゃないもんな。俺の側にいてくれるだけで幸せだよ。」
「もう…馬鹿…」
そうは言いつつも、嬉しそうな顔をしている。その日、2人はゆっくり歩いて帰った。どのような会話をしていたのかは、2人の秘密としよう。
次の日の放課後、皆が部室に揃った。
「ということで、まずは謝らせてください!すみませんでした!」
善永が頭を下げる。篠原が言った。
「頭を上げな。いいんだよ。俺に関しては。それよりも、なぎさと仲直りができてよかった。」
「善永君、試合、頑張りましょう。」
「篠原さん…斎藤さん…!」
荘介が善永の背中を叩く。
「よかったな!善永!」
「ああ!」
和気あいあいとした空気の中、一太が口を開く。
「ですが、善永君、試合のメンバーを早く見つけなければ…なぎさ君が参加しないとなれば、あと5人必要です。」
「いえ、4人です…おい!入ってこい!」
すると、部室に一人の男が入ってきた。早明浦だ。
「やあ、紹介ありがとう。俺は、『兆栄高校の青いイナズマ』、剣道部二年の早明浦鈴之助だ!部活狩りの手助けをする、兆栄高校が誇るベスト・サムライだ!よろしくな!」
「これまた変なのが…」
荘介が呆れている。
「ていうかお前!俺も先輩だぞ!敬語使え!」
「敬語ってのは尊敬する相手に使うもんだ。」
「おい!どういう意味だ!」
「ふふ。」
なぎさが突然くすっと笑った。荘介が不思議そうにしている。
「どうした?」
「いや、なんだか賑やかになったなって…」
「ああ、そうだな!」
再び一太が口を開く。
「あとの4名、どのように埋めましょうか?」
牛滋が手を挙げる。
「俺に一人あてがある。そいつに会いにいこうか。少なくとも、善永、荘介、なぎさには来てもらった方がいいかな。」
「わかりました。」
「話せばわかる奴だ。だから…」
早明浦が手に持っていた竹刀を掲げていた。
「竹刀はいらないな。」
それを聞いて、早明浦はがっかりする。竹刀をゆっくりと置いた。
篠原たちは部室を出て、どこかに向かっていた。
「それで、どういう人なんですか?」
善永が篠原に尋ねる。
「相撲部の男だ。」
「相撲部だって?戦力になるのか?」
勝手についてきていた早明浦が言った。
「そっぷ型の力士だ。野球でも戦えるさ。」
「イソップがなんだって?」
「お前まじで黙っとけ。」
そっぷ型とは、比較的痩せた、あるいは筋肉質の力士を指す。確かに、それなら野球でも戦力になりうるだろう。
篠原たちは相撲部の練習場所である相撲道場に到着した。
善永の挑戦状:「四国のいのち」と呼ばれるほど、四国地方においては重要な役割を持つ、吉野川上流にあるダムは何?
前回の『善永の挑戦状』答え:園田安賢




