サンタさんへのお願い
メリークリスマス!
イヴですねぇ!
週半ばの平日の水曜日なのですが・・・
それぞれのクリスマスイヴをお楽しみくださいね!
それは少し昔のこと、ある少年がクリスマスを前に胸をときめかせていた
この少年はサンタクロースって存在すると信じている年頃だった
少年にとって年に一回・・・いや・・・誕生日も含めれば年に2回は欲しいものが手に入る時期の到来なのだから期待に胸を膨らませるのは無理もないことだ
毎年、パパが何を欲しいか聞いてくる
少年はサンタさんが持ってきてくれるのに、何故欲しいものをパパに言わないといけないのか?と少し疑問に思っていた
パパは「パパとママがサンタさんに来ていただくのに失礼のないようにしないといけないからね」なんて口から出まかせを言っていつもごまかしていた
まぁ、少年にとっては欲しいものが手に入るのだから、さほど気にもとめていなかった
一昨年は働く自動車のミニチュアカーシリーズを頼んだ
少年はママに前もってそれが入る大きさの靴下を用意してほしいと言っており、ママはクリスマスイヴに間に合うようにちゃんと手編みで作ってくれた
まさに母の愛である・・・ママも少年の願いを叶えてあげるのだからサンタクロースと言ってもいいかもしれないが、そこって何故かスル―されるよねぇ?
それでもママはニコニコしながらその靴下を少年に渡して、ちゃんと枕元に吊っておくように言うのだった
クリスマスイヴの深夜、少年が寝静まった頃を見計らって、パパが少年の部屋にこそっと忍び込んで靴下の中に入れて無事任務完了!
ただ、パパはサンタのコスプレはしておらず、部屋着のグレーのスウェットの上下を着ていた
去年は、サンタさんに合体ロボットが欲しいと頼んだ
ママはまたその合体ロボットが入るようなとても大きな靴下を手編みで作った
これはやはり時間がかかり「母さんが夜なべをして靴下編んでくれた~♬」なんて歌を自分で歌いながら編んでいった
精魂疲れ果てたママは目の下に隈をつくりながらも無理やり笑顔を見せて、その靴下を少年に渡して、また枕元に吊っておくように言った
クリスマスイヴの深夜、また少年が寝静まるころを見計らって、パパが少年の部屋にこそっと忍び込んで靴下の中に入れて無事任務完了!
今年も、パパは去年と同じ部屋着のグレーのスウェットの上下を着ていた・・・子供へのプレゼントは買うけれど、自分の着る服なんてなかなか買わないのだった
さて、今年のプレゼントは何?と聞くと・・・
まず、少年は「サンタさんって煙突から入って来るんだよね?・・・でもうちには煙突は無いけどどこから入って来ているの?」とパパに聞いた
実はパパは子供の成長に合わせて問答を想定し毎年シュミレーションしていたので、ビクッともせずに「今まではそれほど大きくないプレゼントばかりなので、体の大きさを自由に変えられるサンタさんはそれを持って換気扇のルーバーを開けて隙間から入ってきたのだよ」答えた
少年は「そうなんだ!でも・・・・」と言葉を詰まらせた
パパは「どうしたんだい?」と聞いた
少年はうつむきながら「今年は僕用の自転車が欲しいの!でも・・・」と詰まり、しばらくの沈黙の後「きっと自転車は大きすぎて換気扇からは入らないかもしれない」と続けた
パパはドキッとした・・・
少年は「じゃあそれは来年にする!その代わり今年はその自転車が中を通ることができる煙突を家につけて欲しい!サンタさんお願い!」
パパは唖然として「煙突って・・・・うちは団地の1階なんだよ・・・」って思った
パパは少年が今年のクリスマスまでに、実はサンタなんていなくて、パパやママがサンタの代わりをしていたんだ!と気付いてくれますようにと、ただただ日々真摯に神に祈るのでした




