表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醜い奴ら  作者: 川崎真人
31/35

愛 八

 アクセスありがとうございます。

 投稿が随分と遅れてしまいました。最近はどうしても忙しく、私の実力不足もあり、このようなことがまた起こるかもしれません。真に申し訳ない。

 今回もお付き合いください。

 「おはよう根本。今日は良い朝だな。……そうそう、港の奴が殺されたよ」

 弘達の部屋の扉の前でそう言った如月の精神を弘には認められなかった。何を持って、親しい友人が殺された朝を良い朝などと表現することができたのか。

 窓から覗けるその日の天気は雨だった。気分を陰鬱にさせてしまいそうな、暗い大雨。弘は部屋から出たくなくなった。ずっとこの中で、何も考えず何もかも解決するのを待っていたいような、そんな願望が心のどこかに芽生え始めている。

 弘は自分の顔を叩く。

 「……それは本当か?」

 「嘘だけれど?」

 如月はとぼけた顔でそんなことを言った。弘はベッドを立ち上がり、如月の顔を凝視する。如月はそれに動じた様子も無く、さも愉快そうに

 「なーんてね。本当だよ、ボクがそんな冗談を言う奴に思えるのかい?」 

 そう言ってげらげら笑う。弘はその痩せた体を蹴り飛ばしたくなった。

 「……それで。そんな状況で、君はここまで一人で来たのかい?」

 神代が訝しげに訊いた。

 「そうだよ。どんな風にしていても殺される時は殺されると思ったんだ。……それじゃあ、十三階まで来てもらおうか。いい加減、この状況をどうにかしないことにはボクら全員アウトだろうから」

 港に従い、弘と神代は十三階へ進む。十三号室の前で、八坂が足を抱えて座り込んでいた。

 「どうした? 部屋にいなくて大丈夫なのかい?」

 おもしろがるように如月は言う。

 「……息が詰まる。それに、わたしは雨がガラスを叩く音が嫌いだから」

 八坂は気だるげにそう言った。

 「……港はどうなっている?」

 弘が眉間に皺を寄せて尋ねる。如月は愉快そうに

 「おおや、ここまで来てそんなことに興味があるとはね? どうしたの? 何か考えでもあって?」

 「うるさい」

 「まーいーや。この十三号室の扉を開けてみなよ」

 弘は一瞬、それを躊躇した。港の肉体がどのような状態にあるのか、想像することはたやすく、またそれを目にすることが恐ろしいのである。

 これではただの臆病だ。

 意を決して、ドアノブに手をかける。その様を、如月は興味深そうに覗いた。

 扉を開く。

 予想通りの光景が広がっていた。

 赤一色の中に浮かぶのは、今度は手ではなくて足。おそらく港のものであろう、二本の足が血溜まりに浮かんでいる。ミンチにされた血肉はもう随分と乾いていた。

 「慣れたかい?」

 「慣れるもんか」

 弘は目をそむけ、ちくしょうと吐き捨てて壁を殴る。自分が何を憎んでいるのか、怒っているのか、分かるようで分からなかった。

 「それで? 何か感想は?」

 「色々だ」

 弘はそれだけ言って、扉を閉じる。

 「……どういう状況?」

 「知らないよ。朝起きて港の部屋を訪ねたら、この様だったというだけ」

 「どうして一人で部屋にいた?」

 「あいつがそれを望んだから。……結局、誰もボクを信じてくれなかったんだ。悲しいことにね」

 如月は寂しそうな顔をする。

 「それで、こんなことが起こった」

 如月は1312号室、八坂は1306号室で眠っていたということらしい。

 「扉の鍵は、この通り開いている。これはどういう?」

 「……港の奴が鍵をかけ忘れるなんて、無いと思うからねぇ。多分だが、犯人ははじめから十三号室に忍んでいたんだろう。そこに、のこのこ入って来たこいつを殺した」

 「調べなかったのか?」

 それは最早、迂闊としか言いようが無い。

 「調べただろうさ。調べている途中にやられたんだろうね、簡単だよ」

 何が簡単なのか。

 「やれやれ、一部屋ずつ三人で当たるべきだと、ボクも八坂も主張したんだけれどね。あの野郎、妙に頑なでさ」

 「……港君が死んだことについては、それで良い。もう考えるのは止すのが精神衛生的に一番だろう」

 神代が冷静な声で言う。

 「これから何もしなければ、如月君の言うように、ここにいる四人が四人とも殺されてしまうことだろう」

 弘は息を呑んだ。まさに、そのとおりであるからだ。

 「殺し屋は今もどこかに潜んでいる。かと言って、殺されなければそれで良いという、そういう訳でもない。ずっと部屋に閉じこもっている訳にもいかないんだ。その中で、僕らはどのように行動するべきか」

 「何か突破口があります」

 八坂がきっぱりと

 「それを探すしかありません。これが見世物にせよ、試練にせよ」

 そう、そのように信じているしかない。

 確証がなくとも、とにかくやるべきだと思わしきことを続けるしかない。結局、全てはどう転ぶか分からないのだ。この世界は暗闇でできているが、同じように希望だってどこにでもある。八坂はそれを分かっている、ただひたすらに、自分達はあがき続けるしかないことを。

 何がどんな結果を招こうとも、自分の姿だけは変わらないのだから。

 「そうと決まれば……まずはそうだね。この四人の中に犯人がいないかということを、疑ってみようか」

 如月はそんなことを言った。

 「その犯人の動きを封じれば、とりあえず殺される心配はなくなる。とことん疑ってみようじゃないか」

 「そうですね」

 八坂が頷いた。

 如月の言い分そのものはとことんまでに正しかったから。

 「同時に、今調べられるところを全て回ってみる必要もあるでしょう。犯人が我々の中にいないかもしれないのですから」

 「鍵のかかった部屋にいるかもだよ」

 「痕跡だけでも見付かれば御の字。四人が殺人者でないことが分かれば、少しは動きやすいから」 

 「それに、食べる物の問題もある」

 神代が顎に指を当てて言う。

 「レストランの冷蔵庫の前構えていれば、犯人はのこのこ現れるかもしれない。……現れなければ、それは我々の中に犯人がいるということ」

 「全ての食料を一箇所に纏める、か。リスキーだね」

 如月が神妙に頷く。ようするにそれは待ち伏せであり、犯人と遭遇することを目的とした作戦である。危険だらけだ。

 「ここから出る方法を探さない限りは、根本的な解決にならないんじゃねぇのかい?」

 弘はそんなことを言った。ナンセンスなその台詞に、皆が弘の方を見る。

 しまった、とそう思った。

 「……まあ、どんなにしても殺される時は殺されるんだろうし、根本の言うことも正しい。しかし、脱出方法なんて犯人に訊くしかないというのも、真理だと思うんだが?」

 如月が言い聞かせるように言う。

 「とにかく今は、犯人と戦うしかあるまいよ。殺されない方法を考えるしかない」

 それは、そうだが。

 だがしかし、弘は言う。

 「ちょっと思いついたんだ。……部屋に備え付けの電話なら、もしかしたらホテル内で通じるんじゃないかって」

 神代が首を振る。

 「通じても、誰も出ないよ」

 「いいえ」

 突然、八坂は立ち上がった。その動作は希望と活力に溢れ、しかし表情に一切の変化は無いまま

 「試してみましょう。誰かいるかもしれない」


 「……親しい友人に繋がった。どうやらそいつも、金持ちの道楽につき合わされているということらしい」

 如月は意識も遠く、何やら考え事をしながらそう報告しにやって来た。

 「そいつに頼んで、劾に今のボクらの状況を伝えてくれるように言った。もうすぐにでも、真相が分かると思う」

 その台詞からは友人への信頼が滲み出て、同時にある種の開放感や安心感が含まれていた。端的に言って、如月は風間に事態が伝われば全て安泰と、そのように考えているのである。

 「……つーか。警察に通報してもらえよ」

 弘は訝しげに言う。

 「それは禁止されている。と言うか、携帯電話事態使えないんだと」

 「……それじゃ、どうやって内の部長に助けを求めるんだよ」

 「そこは百目木の奴のこと。上手くやるさ」

 そう言って、如月は自分を大きく見せるように両手を広げた。……任せてくれよ、とそう言いたいらしい。

 「曰く、ブレーンとして召集して貰えるよう、主催者側に掛け合ってみるんだそうだ」

 「……どういうことだよ」

 「連中に知り合いがいるんだと、そいつと交渉して、劾と会話する機会を作る。無論と言うか劾の奴にはすげぇ迷惑だろうよ、どうせふつうのやり方じゃあ話をさせてもらえないだろうし。多分、ゲームが開催される明日までに、劾がここに呼ばれることになるんだろう」

 「連中は今、どこにいるって?」

 「最上階の特別ルーム。……ボクらの部屋をさらに豪華にしたようなところだとよ、何でもビップ待遇なんだそうで」

 如月はおどけた風に笑って

 「根本。おまえのお陰だよ。まさかホテルの電話が使えるなんて発想はなかった」

 弘は殊更嬉しげということもなく頷いた。そして、一人で首を捻る。

 はたして、こんな上手い話があるだろうか。と、そんなことを考えたのだ。

 ……如月の話が本当なら、細工されたのは携帯電話の方ではない。このホテル自体に何かの仕掛けがある。それはつまり、このホテルがそもそも『そういうところ』だったということになるのではないだろうか。

 いわゆる無法地帯。

 道理を引っ込ませた、何でもありの秘密クラブ。

 備え付けの電話機がホテル内で使用することが可能だということが、そう不自然だとは思えない。ホテルの中で携帯電話が使えぬというのなら、この広いホテル、内部での通信ができないというのは非常に不便だろう。

 それにしたって、自分達が存在している階の電話機だけ、先に片付けておくことくらい、造作も無いはずなのだ。

 「劾……風間劾君のことだね。」

 神代はそれから引き締まった表情を作る。

 「ああ。あいつに頼めば安心だ」

 「……だと良いね」

 俯いて、考え込むように 

 「……彼は間違いなく天才だ」

 ……いくらなんでも、中学生を頼りにすることはできないのかもしれない。真っ当な不安である。

 「他に頼る奴もいない。これが最善だ」

 「……そうだな。人を勝手に巻き込んでしまっただけ、などという展開にならないことを祈りたい。はたして」

 神代は弘達三人を見る。

 「僕らはこれから、四人で一つの部屋に閉じこもるべきだろうか。うん、それが良い、こうなったら賭けるしかない」

 「どうかしら」

 彼女には珍しい、ある種の自暴自棄を含ませた声色で、八坂は口にする。

 「そんな都合の良い方法が通用するとは思えないわ。思考の停止はしては駄目」

 八坂は肩を竦める。その仕草は、ほとんど表情の無い彼女が行なって、凄まじい感情の躍動を感じさせるものだった。

 「あなた達は閉じこもっていれば良い。そして、わたしが餌食になったら、それはあなた達三人の潔白を意味するわ」

 「何を考えている?」

 神代の咎めるような視線。八坂は端的に

 「開きそうな扉があるんです」

 

 「神代先生も、不必要なほどやさしいんだよなぁ。それで自分のこと危険にするんじゃ意味ないけど」

 如月はおかしそうにそう笑った。弘は顔を顰め、十一号室の窓をちらを見る。

 ……あの人形師のこと。八坂に何かする気じゃないだろうな?

 一瞬、弘はそんなことを思わないでもなかった。無論というか、神代の親切さを弘は身に染みて知っていたが、だが彼の人形への執念はその美点より優先して描写すべきものがある。芸術家の鑑のようなあの男は、自らの創作の為に何でもしそうな印象なのだ。

 如月と弘は二人、十一号室で漠然と時間を潰していた。名探偵……風間劾が全てを解決するまで、囚われの脇役達は部屋で小さくなるばかりという訳ある。

 「なあ根本。おまえ、開きそうな扉って何のことだと思う?」

 「知らねぇよ」

 弘は仏頂面で応答する。

 「何だよ、つれないな。できることがないのがそんなに不満か?」

 「……ただ待っているだけっていうのが嫌なんだ」

 嘆息する。

 「まったく何がどうして。こんな事態になってしまったんだ? 港の奴に呼び出されて閉じ込められて港が死んで。芸術狂いと無表情と一緒に何をどうしろってんだ?」

 「おいおい。その不満は筋違いだよ」

 如月はいさめるように

 「誰がこんなことをしたのかは分からないけれど、騙されたのはボクらなんだ。それは甘んじて受けようじゃない?」

 弘はしぶしぶ、頷くことにする。

「……だが、俺らを閉じ込めたその誰かを、恨むくらいはして良いだろう?」

 「それはもちろん」

 如月は愉快そうにする。

 「それで何が変わる訳じゃないが、罪はどこにもない」

 「……如月」

 あまりにストイックなその発言に、弘は面食らう。

 「とにかくだ。何もかも劾の奴に丸投げする……これも良いじゃないか。だがしかし、せっかく時間があることだし、ひまつぶし程度にボクらで推理をするというのも、悪くないんじゃないかなと思うんだ」

 「……まあ同意してやるよ」

 弘はあくまでも連れなさそうに

 「だがしかし、推理なんて一人でするもんだろう?」

 「そうかい? 警察組織の有能さを考えれば、人数は力だという考えも適用できそうなものだけれど」

 「俺らはあいつらほど複数のアプローチをもっている訳じゃない」

 「なるほどね。それを含めて、あいつらはまあ特殊だと言えるだろう」

 どう特殊だというのだろう。如月の憂鬱そうなその表情に、訊き返すことはしなかった。

 「それで。ここには名探偵も警察組織もいない訳だ。名探偵見習いの根本としては、何か気付いたことはあったか?」

 「おまえ」

 弘は如月を凝視して

 「渚が部屋に引っ張り込まれた時、俺らから大分離れたところにいたよな。あれはどうしてだ?」

 「おまえらと一緒にいたら危険度が上がると思った。だから逃げた」

 如月は悪びれもせず

 「自分が一番の標的にされているとは思えなかったから。だから」

 「……そうか」

 今の応答事態に、これと言って引っ掛かるものはない。しかし弘は

 「じゃあ誰が一番の標的だと思うんだよ?」

 「そりゃあ、おまえだろう?」

 如月は答える。

 「電話の声も言っていた。おまえから電話がかかると思っていたと。おまえが最後に残れと」

 弘は舌打ちをかます。如月は楽しげに

 「何か心当たりはないのかい? 電話の声に」

 「さあな」

 これは本当に、さあなと言う他はない。

 これまで、弘は様々な犯罪に巻き込まれて来た。だがその中でも弘と言う一人の人間を目標に行なわれたのはオウムガイの事件だけ。それも弘の予想の範囲外だ。

 自分のことに執着する犯罪者など、それこそ碇本くらいしかいない。

 「……待てよ」

 自分は一人、とんでもない輩と関わっている。

 あの『ホッチキス』。西条がそう名付けた、あの炎の殺人鬼。

 「なあ如月。ふつう、シリアルキラーはこんなところに人を閉じ込めて、それから人を殺したりするのかな?」

 「そりゃあ、ボクに訊くのは失礼と言うものだ」

 如月は、何やら腹の中から愉快そのものを溶かし込んだ息を吐くように

 「まるでボクが殺人鬼みたいじゃない?」

 それは確かに。だがしかし、この男は必要になったら意図も簡単に人をあやめてしまえるんだろうなと、弘はそんな風にも思う。

 ……それこそ失礼極まる思考だが。

 「まあそれは良いだろう。さしあたって、港の事件の方だ。あれについて、おまえが欲しい情報はたくさんあるんじゃないのかい?」

 「……まあ。そうだな」

 今朝出現した死体、それが生じる過程にあったものを、弘はほとんど知らないといって良い。普段の……渚の安全がしっかり保障されている状態の弘なら、もっと根掘り葉掘り情報を求めたことだろうが。

 「まあ結局さ、あれは港の自殺みたいなもんだったさ」

 「自殺?」

 「ああ。奴は自分の部屋には誰もいれたくないと主張して、一人で部屋を調査しているところを潜んでいた殺し屋にやられたんだ。これはもう、愚かだとしか言いようがないさ」

 随分とあけすけに死者を愚弄してくださったものだ。弘は呆れ、しかし如月の言うことももっともだと感じた。

 「あの足は確かに港の奴だよ。毛の生え方とかね」

 「……分かるのかよ」

 「神代先生が男の足は覚えてないって言ったからね。親友たるボクが調べてやったのさ。……あいつの毛は、一度ふざけたボクに『分度器』って読める風に刈られている」

 なるほど。それは分かりやすい。

 「犯人がそれに気付いて、それがおかしくて足だけ残したのかは知らんがな。何にせよ問題は、どうして港があんな愚かなことをしたのかだろう。いくらなんでもこのボクを部屋にいれないというのはありえない」

 信用されてなかったんじゃねぇの? と弘はそんな表情を浮かべる。

 「信頼もあるけれど。奴は自分より腕力で劣る人間を然程警戒しない」

 「……ふうん」

 弘は生返事返す

 「ってことは、港がつるむのは、自分より弱い人間だけ?」

 「そうなるな。岸谷も百目木も、決して体格の良いほうじゃない。風間劾大先生のことならおまえも知っているだろう?」

 「ああ」

 「しかし百目木の野郎。今頃大丈夫かね。妙なゲームに巻き込まれたらしいが」

 「さあな」

 「つれないこというなよ。あいつが劾の奴と連携するかどうかでボクらの運命が決まるんだ」

 「知らん」

 弘は溜息を吐いた。

 「それより。連中遅くないか?」

 弘は部屋の時計を確認した。既に一時間ほど経過している。

 「さあ。どうでも良いことだ」

 如月はベッドに転がった。

 「あいつらのことだ。あいつらに任しておけば良い。ボクはボクらのするべきこと……待つことをしなければ」

 それもそうだな。と、弘はそのように考え、ソファで横になる。

 

 深夜も零時を回ったあたり。部屋をノックする存在があった。

 「出るなよ」

 如月が端的にいう。

 「おそらく殺人者だ。そうに違いない」

 ノックは続く。弘は訝しげに、その前まで移動して覗き穴を見る。縋るような、それでいて強い意志を持った、そんな表情の神代が立ち尽くしていた。

 「なんだ?」

 弘はそれだけ訊く。

 おおよそ。何が起こったのかは予想ができたのだけれど。

 「八坂さんが死んだ」

 ほれ見たことか。

 「例によって例のごとくばっらばらだろう?」

 如月がおかしそうにいう。神代は部屋を開けて欲しいとそういうように、ドアノブをいじりながら。

 「右手だけ残ってる」

 そのように報告する。

 「中に入れてくれ」

 「駄目だ」

 如月は端的に答えた。

 「どう考えても、おまえが人殺しなんだからな」

 あくびをして、如月は再びいびきを立て始めたのだった。

 読了ありがとうございます。

 これからもお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ