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第96話 VTヒューズ
VT信管は、またの名をマジックヒューズ(VTヒューズ)とも言う。この兵器の開発に、米国はマンハッタン計画と同じ位の額の金をかけたと言われている。ちなみにマンハッタン計画とは原子爆弾の開発計画の事である。ただ、このVTヒューズにも弱点と言うか死角はある。海面スレスレに飛んでくる物体に対しては近接信管が機能しない。ただ、砲弾の先が小型レーダーになっていて、砲弾の周囲何十メートル以内に航空機が侵入すると、その瞬間に信管が炸裂して爆発すると言う、この兵器は当時としては画期的であったし、金をかけただけの戦果は得られた。結局、マリアナ沖海戦では日本海軍は虎の子の空母2隻と航空機300機以上を失う結果となり、小沢治三郎海軍中将のアウトレンジ戦法も、「あ」号作戦も米国空母機動部隊撃滅をする事には至らず、敵わなかったのであった。この時期になると、日米の航空機戦力の差は圧倒的なものとなり、VTヒューズの登場により、特攻の成功率も激しく低下して行く事になる。




