第7話 20㎜機銃
零戦にはもう一つ機銃がある。それが20㎜機銃である。弾丸ではなく、炸裂弾を搭載させており、当たればそのダメージは7.7㎜機銃の比ではない程威力が高いのであるが、発射の初速が遅く、弾数も少ない為これが中々当たらない。その為腕の良いパイロットはこぞってこの20㎜機銃を使わなかった。最も零戦は艦上を護衛する能力さえあれば良い為、戦闘機としては7.7㎜機銃だけで充分であった。ただ、中にはこの20㎜機銃を上手く使いこなしていたパイロットがいたのもまた事実である。防弾能力に優れた米国のグラマン等には、7.7㎜機銃を正面から撃ってもビクともしない。そう言う相手にこそ、この20㎜機銃が出番になるのではあるが、搭乗員達の間では、すこぶる評判の悪い機銃である事に違いは無かったのである。零戦の装備している二つの機銃の特徴はこんな所である。ちなみに防弾能力の低かった零戦に対して米軍の戦闘機は全て防弾能力が高かった。これは日本軍と米軍の考え方の違いで、兵士の命を軽視し防弾能力を高めなかった日本軍に対して米軍は兵士の命を最重要視してその結果、運動性能は落ちるかも知れないが、戦闘機の機体の防弾性能力は高くしていた。と言う戦略上の違いが明確に表れていた。