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第67話 一撃離脱
零戦に対する米軍が立てた3つのネバーこそが、零戦を倒す為の必勝法であり、そこから導き出されたのが一撃離脱戦法であった。読んで字の如く、攻撃を一度加えたら速やかに零戦から離れると言う事を意味している。要するに、ダラダラと戦闘を続けていると、そのうち航続距離の長いスタミナのある零戦に、捕まってしまい不利な格闘戦に持ち込まれてしまう。ドッグファイトで戦う事は、零戦のスペックを遥かに凌駕する機体をいくつも持っていた米国でさえ避けていた位である。そしてもう一つ、この一撃離脱とセットで運用されていたのが、2機1組の小隊をベースに行動する事。つまり、零戦1機に対して必ず2機以上で戦う事を義務付けた。これらの戦法は全てアリューシャン作戦で手に入れた零戦を徹底的に研究する事によって、導き出された解答であり、零戦対策としては完璧に近かった。こうして日本海軍航空隊は、制空権を米軍に支配されていき、遂には原爆投下を許す事になってしまうのであった。




