第58話 日本海軍航空隊のエース
日本海軍航空隊を語る上で欠かす事の出来ない存在が、撃墜王である。そのエースの中で最も有名なのが、恐らく故坂井三郎氏であろう。1916年生まれで、16歳の時に4等水兵として、佐世保海兵団に入隊。叩き上げで戦闘機乗りとなり名パイロットの名を欲しいままにした。第二次世界大戦を生き抜いた坂井氏は戦後出版した著書「大空のサムライ」でゼロファイターの実状を赤裸々に綴っているが、フィリピンやラバウル、南方戦線と言う激戦地で生き残った経験がその本にはある。坂井氏の様なエースと呼ばれた人達は何人もいたが、ほとんどのエースは予科練や操練と言った一兵卒からの叩き上げで、海軍兵学校や海軍大学校出身のいわゆるエリート士官はほとんどいなかった。現場の最前線を任されて死線を越えて来た下士官には全く歯が立たなかった事の何よりの証明だと思う。坂井三郎氏の最終階級は海軍中尉であったが、4等水兵から20年をかけて中尉まで昇進した例はそう多くはない。坂井三郎氏は2000年に84歳で亡くなっている。




