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第56話 転がり落ちる石
1942年(昭和17年)6月のミッドウェー海戦と、同年8月から始まったガダルカナル攻防戦の日本陸海軍の敗戦は以降坂を転がり落ちて行く石の様に日本軍は敗退と玉砕を繰り返して行く。この流れに沿うかの様に零戦も、航空戦で米軍機に対して優勢を保てなくなり始める。開戦時はほぼ互角であった日米の実力も、国力の差や体力のパイの違いによって、徐々に開いて行く事になる。勢いが完全に米国側に向かってしまう事になってしまったのも、この時期からである。虎の子の航空母艦を失い、ひっくり返せそうだった劣勢にあり、更なる墓穴を掘ってしまった事。日本の敗戦は物量差もあったのかも知れないが、ヒューマンエラーがそれ以上に日本の敗戦を決定付けたと言っても過言ではない。転がり落ちてしまう事になってしまったのは、日本人にとって良い事だったのか、悪い事だったのか、今になってもよく分からないが、負けて得たものと言うのも、確かにあったはずである。




