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第55話 無事これ名馬
無事これ名馬→無傷で戦場から戻る事が出来たと言う事は、乗っていた馬が名馬だったと言う証である。と言う意味だったと自分は捉えているのだが、零戦にも同じ事が言えるのではないかと思う。無傷で戦場から帰って来ると言う事は、パイロットの腕もあるが、乗っていた零戦の性能が良かったからと言う事もあるだろう。つまり、無事これ名馬なる無事これ名機なのである。最も天下無敵を一時は誇った零戦も次第に研究され米軍の戦闘機の性能上昇により撃ち落とされ、最終的には体当たり作戦でしか使い所が無くなっていくのは何とも悲しい運命だとは思う。プロペラ式戦闘機では間違いなく最強クラスにある零戦も、エンジン開発の限界で、後継機の開発にことごとく失敗してしまう。それは後発工業国の哀しさであり、日本の技術的な体力の問題が大きかった。そして、名馬を続けて出す事が出来なかった日本に対して、年を追う毎に名馬を出し続けていた米国との差が日本の敗戦を運命づけた。




