第50話 兵力の逐次投入
この話は零戦の性能の話ではない。軍事戦略の話である。戦争(戦闘)において最も避けるべき戦い方の一つに、兵力の逐次投入と言うものがある。簡単に言えば、兵力を少しずつ追加していくと言う事である。何故兵力の逐次投入がいけないのか?それは、後手後手の策であるからである。言うなればこの量でやって駄目なら追加する。それでも駄目なら追加する。しかもそれら追加部隊が投入される頃には、戦況は確実に悪化している事が多い。日本が米国に敗れた一因として、最も避けるべき兵力の逐次投入を、使ってはいけない場面で使ってしまったと言う事が、敗戦の大きな理由であると考えている。戦力は小出しで使うのではなく、一極集中で一気に崩す方が戦略的には良い事の裏返しでもある。日本が米国に敗れたのは、何も物質的な事ばかりではないのである。現場の指揮官がバラバラに兵力の逐次投入をやってしまったが為に、インパール作戦の様な悲劇を生んでしまったのであった。大日本帝国陸海軍の兵士の死者の70~80%が餓死或いは栄養不良による感染症で無くなっている。大本営が赤紙を用いてまで、兵力の逐次投入をやったのがあだとなったのである。




