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第42話 敵を知り己を知れば百戦危うからず
「敵を知り己を知れば百戦危うからず。」この言葉は論語を作った事でも知られる孔子の言葉である。昭和期の大日本帝国陸海軍は、敵を過小評価し、自らの能力をわきまえないばかりか国家を破滅させる様な戦争に踏み切りコテンパンにやられた。この論語にある孔子の言葉を考えられる人間が大本営にいたとしたならば、大戦は全く別の方向に行っていただろうし、戦後日本の在り方も全く変わっていた事であろう。明らかに無理だと分かっている作戦を強行し、多くの将兵を死なせてしまった事は、敵を知るどころか、己の実力すら把握していないと言う何よりの証である。戦争が起こった事は百歩譲って仕方ないとしても、その戦い方や終戦までの道のりが酷すぎる。避けられた死は確実にあっただろうし、愚かな作戦を強行する必要も無かった。第二次世界大戦末期には大日本帝国陸海軍は確かに冷静な思考力が欠けていた。三平や嘉三ら戦闘機開発チームも二一型にかわるアップデートした新たな零戦の開発を急いでいた。




