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第33話 邀撃(ようげき)
零戦だけではなく戦闘機やその他航空機が敵機を迎え撃つ事を邀撃と言う。現代では馴染みの薄くなった言葉だが、その代わり普及したのが、ほとんど言葉の意味が変わらない迎撃と言う言葉である。今も昔も敵機を迎え撃つ時の緊張感たるや並大抵のものでは無いだろう。航空自衛隊のスクランブル(緊急発進措置)等は迎撃に近いものがある。ともかく、敵機とのドッグファイトに勝たないと制空権は取れなくなっていた。当時は大日本帝国陸海軍も米軍も、独立した空軍組織は無く、米国に空軍組織が出来たのは戦後2年余り経った1947年の事であった。日本も防衛庁自衛隊が1954年に発足するまでは、空軍たる独立航空戦力は存在し無かった。米国の場合は陸軍の一部としての航空隊、日本の場合は陸海軍にそれぞれ航空部隊があるだけであった。ちなみに日本や米国に比べると、欧州各国は比較的空軍創設が早かった。第一次世界大戦の教訓が記憶に新しかったからかも知れない。




