第31話 米国の検証
アリューシャン作戦で米国本土に持ち帰られた零戦は直ぐに分析・解析が進められた。不時着した零戦の状態が比較的良く、そのスピードを可能にした栄発動機の中までつぶさに知る事が出来た。全くのベールに包まれていた零戦だったが、少しずつそのベールが剥がされて行く事になった。米国側が最も驚いたのは、自動車ですら満足に作れない三等国家と思われていた日本(亜細亜の黄猿)が世界の一等国と呼ばれ技術をリードしてきた欧米のどの戦闘機よりも零戦が優れたものであると言う事実であった。この零戦の検証データは、後に日本軍の敗北を決定させる事になるライバル機グラマンF6Fやシコルスキーと言った戦闘機開発に役立たれる事になる。機体のデータさえあれば、零戦の謎は半分以上解けた様なものである。日本軍がグラマンF6FやボートシコルスキーF4UコルセアやP51ムスタングと言った米国の戦闘機を入手する事が出来ていたのならば、大戦の航空戦略はもう少し変わっていたのかも知れない。もちろん、それはあくまで結果論に過ぎないが…。




