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第30話 アリューシャン作戦でのミス
アリューシャン列島…日本人にとっては馴染みの薄い地域かも知れない。世界地図を広げれば分かると思うのだが、北方領土の更に先にあるロシア領の島々である。こんな辺境の島々を日本軍が支配していた時代があった。この地域で日本軍のちょっとした油断から、米軍に致命的なミスとなり得る要素を提供してしまう事になる。昭和17年7月アリューシャン列島で行われたアリューシャン作戦において、アクター島に一機の零戦が不時着する。(パイロットは脱出後行方不明)その不時着した機体の回収を日本軍は事もあろうか、米軍に先を越されてしまう事になってしまった。機体は後に米国本土に輸送されて、徹底的に検証される事になってしまう。この時まで米軍はおろか、連合国のどの国も零戦についての詳しいデータは無く、謎の機体だった。こんな辺境の島に不時着した一機の零戦が大戦の趨勢を決める事になろうとは、日本軍の誰も思っていなかった。遂に化けの皮が剥がれる時が来た日本軍の痛恨のミスであった。




