第27話 搭乗員は消耗品
そんな航空兵(搭乗員)とて、軍上層部からは赤紙(召集令状)で補填出来る消耗品としか思われていなかった。第二次世界大戦後半から末期になると、その考え方はよりエスカレートする事になる。特攻である。陸軍も海軍も十死零生の体当たり攻撃を実践していく。特攻に必要なのは難しい技術ではない。目標に真っ直ぐ無傷で飛んで行く事だけ。そんなものは直ぐに身に付く。敵機を打ち落とす技術等必要ない。戦闘機や航空機の本来の用途からかけ離れた自爆攻撃はそもそも、負ける事が確定的な戦争を早期講和しなかった為にだらだらと続けたのが、間違いの始まりであった。第二次世界大戦末期に死亡率が一番高かったのは歩兵でも水兵でもない。特攻が常態化していた航空兵であった。理由は簡単な事だ。片道切符は戦死する事の代名詞であったが、片道燃料で爆弾をありったけ抱えた零戦はスピードも落ち、ドッグファイトなど到底できっこない。そんな片道切符の名に相応しい作戦であり、大日本帝国陸海軍のプライドを守る為と言えば格好が良いが、体裁を保つ為だけに搭乗員は消耗品、整備兵は備品等と言うあしき風潮が特攻を最後の足掻きに使ってしまったのであった。




