第26話 航空兵の飯
大日本帝国陸海軍の中で将兵・士官・下士官・兵の待遇に差があった事は有名だが、職種によっても待遇に差があった事はあまり知られていない。兵は兵でも、良質な飯を食わせてもらっていたのが航空兵であった。整備兵や水兵や歩兵よりも確かに良い飯を食わせてもらっていた。事実、戦闘機には何の思い入れは無いが、良い飯が食えると言うだけの理由で航空兵になった者もいるから驚きだ。同じ理由で不味い飯を食わせる悪名高き陸軍よりも飯の旨い海軍を選ぶ者もいた。それは事実で、陸軍よりも海軍の方が旨い飯を食わせていたのは本当である。当時の航空兵は花形のエース格で、シンボル的な存在であり、そう言う人間には良い飯を食わせて繋ぎ止めておきたい、人材流失を防ぐ差別化戦略を日本海軍はとっていた。軍隊においては差別化をしなければ序列をつけられない。飯の質一つとっても、それが重要な事だと分かっていたから、いかに序列をつけるのに躍起になっていたかが分かる。食う事だけが楽しみの軍人にとって、この差別化戦略はこたえるものであった。




