25/121
第24話 撃墜王
日本には5機以上敵機を落とした猛者よりも、もっと多くの敵機を撃墜した撃墜王が存在する。前述の通り彼等にあって、他の兵隊には無かったもの。それはやはりセンスと言えるだろう。戦闘機の操縦には技術がいる。乗用車の様な簡単な乗り物でさえ、得手不得手、上手下手があるのだから、戦闘機ならば尚更である。撃墜王のほとんどが、下士官出身の叩き上げだった事は当然の事かもしれない。士官であるパイロットは上空で指揮を取るためだけに存在していて、肝心の格闘技術はからきしと言う事はよく有ったようである。勿論例外もない事は無い。しかし、やはりあれだけの防御性能の高い米軍の戦闘機を落とし続けたのだから、撃墜王と呼ばれた彼等の力は偽物ではなく本物であったと言える。そんな彼等が乗って愛機として用いたのが零戦だった事も、重要なポイントである。戦闘機とパイロットの二つの要素が無ければ、撃墜王は誕生しなかっただろう。零戦とパイロットがタッグを組まなければ出来ない芸当である。




