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第10話 零戦の特徴①(スピード)
零戦の特徴は何と言っても時速300㎞超のスピードである。その上に優れた旋回と宙返りの能力が有る為、小回りも利く。これまでの戦闘機でスピードと小回りを両立させる事は至難の技であった。その両方を一級品にまで昇化させたのはひとえに三平や嘉三の努力の賜物であった。ただ、第二次世界大戦末期には、時速600㎞~700㎞で飛行する2000馬力のを持つP-51ムスタングと言う化け物が登場するのだが、昭和15年、つまり零戦が生まれた頃はスピードも小回りも世界トップレベルにあった。ただ、その為に一つだけ三平と嘉三が犠牲にしたものがある。それが防御能力。つまり、防弾板等のパイロットを守る装備を極限まで削ったと言う事である。これが後に致命的になって来る事になるのであるが、これだけのスピードと小回りを両立させる事が出来るのであれば、致し方無い事だと日本海軍上層部も三平や嘉三ら製作サイドも合意してしまう事になる。零戦は良くも悪くも身軽な機体なのである。




