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第九十一話:四人の馬鹿

「噂だけど、国王の姿をした何かの指示の元、日夜そのスキル"闇の化身"を使いこなせるようになるための研究がおこなわれてるらしい。それを身体に入れられた人間は皆、そのスキルの恐ろしきほどに強大な力についていけずに身体が崩壊し、誰もが使いこなせないからさ」


 そんなぺロムの発言。


 ヴァン達は全てではないが、この国で起こっている気持ちの悪い事柄について理解した。


「つまりさ、国王の姿をした何かをその"闇の化身"というスキルが使いこなせるようになるまでに倒さないと、かなりまずいことになるってことだよね」


 サキの発言にぺロムが頷いた。


「でもさ、なんでブードラは生かされてるの? その国王の姿をした何かからしたら、全てを知ってるブードラなんて一番最初に殺したいんじゃないかって思うけどね」


 そう言って微笑むアリシア。


「…………」


 ぺロムが少し考えてから言葉を発した。


「それはさ、あたいとブードラも不思議だった。そして、その理由は推測でしか語れない。


 だけどあたい達の推測としては、国王の姿をした何かは自らが仮面を奪った相手であるブードラの素顔も名前も知らないんじゃないかと思ってる」


「そんなことがありえるの? 普通、元々の国王が誰かくらい確認するような気がするんだけど……」


 サキが首を傾げた。


「そう考えるとつじつまが合うことが多いんだ。嬢ちゃんの言う通り素性が知られてたなら、ブードラはこの国で生活なんかできやしない。いの一番に殺される。だけどブードラは普通にこの国で生活できてた。


 ずっと仮面をかぶって自らの顔と名前を偽っていたブードラはほとんど全ての人間に素性を知られてない。だから元国王の真の姿がブードラであることを、国王の姿をした何かも知らないんじゃないかって推測したんだ」


 ぺロムがサキを見る。


「さらに、ブードラはスキル"闇の化身"を材料に国王の姿をした何かと取引をした際に、自らは盗人でそのスキル"闇の化身"を城に忍び込んで盗み出していたという嘘をついてたんだ。


 だから、その取引の際にもブードラの素性は国王の姿をした何かにばれなかった」


 サキは思った。"確かにブードラがうちらの目の前で国王の姿をした何かに連れていかれる際も、元国王としてではなく、借金取りに捕まった後のことを喋ろうとした罪人として連れていかれていた"


 ぺロムの推理である"国王の姿をした何かは、元々の国王がブードラであったことを知らない"と考えると、全てつじつまが合う。


「だけど急がないといけないね」


 一気にたくさんの情報が耳に入り、その全ての話には完璧についていけてないヴァンだったが、そう口にした。ヴァンが今理解していることとしては、ブードラは国王の座を奪われており、その国王の座を奪った何かは"闇の化身"という恐ろしいスキルを実用化するために研究している。その研究が完成し、スキル"闇の化身"が実用可能になる前にその国王の姿をした何かを止めなければ、かなりまずいことになる。


「なら、どうするの?」


 アリシアの問い。


「まずは、ブードラを救いにいかなきゃ」


 ヴァンはそう宣言した。


「きゃははははは、分かってるの? それってつまり、敵の本丸であるあの城に忍び込むってことよ?」


「ああ、そうだね。でも、俺達には城の内情に詳しいぺロムがいる」


 ぺロムが頷いた。


「ああ、できる限り協力するよ。スキル"闇の化身"とやらの研究を一刻も早く止めなきゃね」


「城に入る方法ってあるの?」


 サキがペロムに対してそう問うた。


「あんた、勇者の巻物貸しな」


 ヴァンは言葉の通り、巻物をぺロムに渡した。


 ぺロムがその巻物を操作してからヴァンにとあるミッションを見せる。


「このミッションを受けな」


〈ミッション名〉

 俺の宝物を取り返してくれ、マイメン

〈依頼者氏名/場所〉

 ディージェ / 楽しみの池のほとり

〈報酬〉

 20,000ゼニー / 15,000勇者ポイント

 

「ディージェ……」


 ヴァンがその依頼者の名を口にした。


「どんな人なの?」


 ヴァンの問いにぺロムが返答する。


「馬鹿な奴よ」


 アリシアが指を折りながら、数を数え始めた。


「ヴァン、バラン、そいつ……、三人ね」


 アリシアは微笑みの表情を突如、般若のように変えた。


「もう"馬鹿"はいいわよぉ‼‼」


 アリシアが叫ぶようにそう口にした。


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