表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/405

第七十一話:忙しいサキ

 18時になり、夕日が落ちてきて、夜が始まろうとしていた。


「よし、今日はそろそろ終わろう」


 ヴァンの言葉にバランが、


「押忍!!!!」

 

と、返答した。


「この本借りてもいい~?」


「もちろんだ」


 ヴァンから渡されたそれをバランは、とてつもない宝物のように抱いた。


「きゃははははは、終わったのね」


 遊びに行っていたアリシアが戻ってきて、そう口にした。


「うん、続きは明日だ」


 ヴァンの言葉に対してバランが、頷く。


「うん、明日も今日と同じ場所に、同じ時間で集まろうね」


「おう、明日も頑張ろう」


「押忍!!!!」


 バランが元気よく、そう返事した。


「あんた、もしかしてこれで、終わりじゃないわよね?」


 アリシアが、ヴァンを見つめる。ヴァンはアリシアの言葉の真意が、分からなった。


「あんたさ、せっかくかわいい弟子ができたんだから、修行終わりにアイスでもおごってあげなさいよ」


 "闇の化身"の言葉とは到底思えないその発言にバランが、喜んだ。


「わーーい、アイスアイス~~~~」


「おう、勇者の俺はたくさんお金を持ってるから、好きなアイスを買ってやろう。何なら、二段アイスでもいいぜ?」


 ヴァンはとてつもないどや顔で、バランにそう告げる。


「わーーい、二段アイスだ~~~~」


 喜ぶバランにアイスを買ってやり、家まで送り届けた、アリシアとヴァンだった。


「さて、サキを回収しに行きましょう。晩御飯を食べなきゃ」


 ちゃっかり三段アイスをヴァンに買ってもらったアリシアは、バニラ、いちご、オレンジのアイスを舐めながら、ヴァンの隣を歩く。


 ヴァンは思う。


"そんなにアイスを食べたら、晩御飯が入らなくなっちゃいそう"


 そしてヴァンとアリシアは、神と闇の化身の銅像の横に、戻ってきた。夜だというのにそこには、かなりの人ごみができていた。


「ははははははい、ちょっと待ってください!! 順番、順番ですよ~」


 人ごみの中、サキがほとんど叫ぶかのように、そう口にしていた。


 たくさんの人でにぎわう、サキの周り。サキが、目を回していた。


 サキはこの場所に病気や怪我の人を集め、その治療をすることを、自らの修行としていた。だが、サキの想定よりも人が来ており、その場所はごった返していた。


「あーーーー、これはあの娘、まだまだ解放されないわね」


 アリシアがサキの横に行ってから、言葉を発す。


「あたし達、サキより先に、ご飯食べてるわね。きゃはははははは」


 アリシアが目を回すサキに対して、不意なダジャレをかました。


「分かったぁぁぁぁぁ」


 サキが忙しそうにしながら、そう返答する。


 そしてヴァンとアリシアは、晩御飯を食べた。


「これ、サキに買っていってあげよう」


 ヴァンがそう言って、おにぎりを二つ買った。


 中に肉やら魚やらが入っている具だくさんのそのおにぎりを、サキはとても喜んだ。


「ありがとう。うち、もうしばらく帰れそうにないから、二人で宿屋に帰ってて」


 そう告げた、サキだった。だがヴァンは、宿屋に向かうつもりは毛頭なかった。


「俺も、修行してから帰るよ」


「きゃはははははは、よろしいよろしい」


 ヴァンのやる気に対して、アリシアが満足そうに笑った。


 そしてヴァンは先程バランに対して修行をした広場に、今度はアリシアと一緒に、到着した。そして今度は、ヴァン自身の修行を始める。


「スキル"焔の心"」


 ヴァンの手に、黒炎が現れた。その様をアリシアが、見る。


「スキルは使えば使うほど使いこなせるようになってきて、強くなる。それを、熟練度というの。でも、熟練度とは別に、スキルを強くする要素がある。それは、"魔力"って呼ばれる概念。あんたの心に、エネルギーが溜まってる。そのエネルギーを、魔力っていうの。その魔力を心から供給するイメージをしながら、スキルを使ってみなさい」


 アリシアの言葉にヴァンは頷き、そのイメージを持ちながら、焔の心を使用する。


「おお!!!!」


 ヴァンの焔の心は元々、手の平に黒色の炎が灯る程度のものだったが、その黒炎が、大きくなった。そして黒色の火の玉となって、浮かび上がった。初めて手から離れ、操ることができたその黒炎にヴァンは、嬉しくなった。


「きゃはははははは、熟練度と魔力を意識して、スキルの練習をしなさいよ」


 そんな、適切な指導を行う、アリシアだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ