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第六十五話:情報屋ジョン

 ヴァン達は考える。ブードラの依頼を受けるというのは決定したが、どうやってキミュを見つけるかの案が、なかった。


「どうしようか?」


 ヴァンが悩む。


「そうだ!! 情報屋 ジョンの所に行けば、良い情報をくれるかも知れないぞ!!」


 店員がその言葉を口にしたブードラの頭を、メニュー表ではたいた。


「あんた、情報屋ジョンなんかに依頼したらどうなるか……」


「でもよぉ、それしか案がねぇんだよぉ」


 ヴァンが尋ねる。


「誰? 情報屋ジョンって」


「情報屋ジョンってのはねぇ、とってもお金にがめつい、探偵業の男。腕は確かなんだけどさ……、黒い噂が絶えない存在なの。そんなやばい男をこいつは、紹介したの」


 店員の言葉に対して、ヴァンは少し思考する。


「一応その人のところに行ってみよう。情報がないのは確かだから、ちょっとでも可能性がある人に聞いてみよう」


 そうしてヴァン達はその店を出て、ブードラの後に続き、楽しみの国を歩く。


「あんたさ、この国から逃げちゃえばいいのに」


 アリシアが雑談的にブードラにそう告げ、ブードラが首を横に振った。


「駄目なんだ。借金をしている奴はこの国から、出られない仕組みになってる」


 ブードラは、遠くを眺めた。その視線のはるか先には、そびえ立つ壁が存在している。


「この国は全周を高い壁に囲われてるだろ? その壁から国の外に出られる門は四つ存在しているが、その全てに守衛がいて、この国から出たい奴をチェックするんだ。そして、この国で金貸しから借金をしてる奴はその情報が守衛にいっており、外に出る前に止められる。だから俺は、この国から出ることができないんだ」


「きゃははははは、かわいそうねぇ」


 アリシアは全くかわいそうとは思っておらず、表面上だけ、ブードラに同情したふりをした。


「ここだ」


 ブードラが、一つの建屋の前で立ち止まった。それは、レンガでできたおんぼろの家。一部屋程度しかなさそうな大きさのその家の扉の上に、"情報屋"と書かれたこれまたおんぼろの看板がついていた。


「失礼する」


 ブードラが、その扉を開けた。


「~~~~」


 何かは分からないが、何かの言葉がヴァン達の耳に届いた。


「なんか言ったか? ジョン」


 ブードラが、そう尋ねた。


「ようこそって言ったんだよ」


 丸刈りで眉毛すら剃っているその男は、ブードラを睨む。


"汚いなぁ"


 サキが口にこそ出さないが、そう思った。


「ここ、めちゃくちゃ汚いわね」


 大人のサキが言葉をつぐんだのに、それを堂々とアリシアが告げる。


「うるせぇ」


 情報屋ジョンとやらは、そう口にした。だが、たくさんの本が散らかっており、足の踏み場すらないこの場所は、確かに汚かった。


 いかつい顔のジョンは、真っ白なシャツの上にオーバーオールを着ていた。


 ブードラがキミュの写真を、ジョンに見せる。


「ジョン、すまんな、雑談してる時間もないんだ。単刀直入に言うが、名をキミュっていうこの男を探してる。居場所を知らないか?」


「知ってるぜ」


 ジョンは朝飯前という風に笑う。


「本当? なら、教えてくれ」


 ヴァンは喜ぶ。


「五十万ゼニーよこしな」


 ジョンはヴァンに、そう告げる。ヴァン、アリシア、サキの所持金の総額は、三十万ゼニー程度だ。


「持ってないよ、そんな大金」


 ヴァン達はミッションクリアの報酬を三人で均等に分配している。そしてアリシアは、その持ち金を全てビラファ達との闘技場での戦いで、ヴァン達に賭け、約五万ゼニーだった持ち金を四倍ほどにしていた。それプラスサキとヴァンの手持ちで、だいたい三十万ゼニー程度が、ヴァン達の所持金の総額だ。


 ジョンの要求には到底足りないし、そもそもアリシアは自らのお金を提供するつもりなど、毛頭なかった。


「おう、ラッキーだなお前、この楽しみの国にはたくさんの金貸しがいる。貸してもらえば払えるだろう?」


「人間一人の情報をもらうだけで五十万ゼニーだなんて、高すぎるでしょ」


 さすがのサキも怒る。


「ははは、高すぎるか。ならいいぜ、他を当たりな。もっともキミュの情報を持ってる奴なんて、俺以外にいねぇだろうがなぁ。なんてったってこいつ、普段は変装してるから、この写真じゃどんだけ探しても見つからねぇよ」


 ジョンは楽しそう。


「まぁ、俺も鬼じゃねぇ、確かになんの条件もなく借金しろは、言い過ぎたな」


 ジョンは口角を上げて、不気味な笑みを作る。


「今から簡単な心理戦のゲームをやろう。そのゲームにお前らが勝てば、無料で情報をやる。だが負けたら、借金して五十万持ってきな、それと交換で情報をやる。ゲームに負けたのに五十万払わないってのは、なしだからな。もっとも、勇者様が負けたのに金を払わないなんていう、ふざけた詐欺行為をするわけがないよなぁ」


 ジョンのその発言に、ヴァンは考え込んだ。


「きゃはははは、楽しそうじゃん。やりましょやりましょ」


 アリシアがそう口にし、やることとなったそのゲーム。


 ジョンは汚いこの場所にかろうじて存在しているテーブルの上に、トランプを置いた。



 

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