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第三百二十二話:神クラスへの到達

「スキル"生物創造"、スキル"限られた命の輝き"」


 ニーズランドが、そう口にする。


 ニーズランドの皮膚の一部が落ち、そこから数多の生物が生まれた。


 鳥やらライオンやらのその獣たちは皆、爆弾になっている。その生物達が、ヴァンに向かう。


「スキル"闇の化身"」


 ヴァンが真っ黒なオーラを翼にし、ニーズランドの頭部に向かった。


 ヴァンは諸々の生物達の爆発を避けながら、ニーズランドの近くに到達した。ニーズランドがヴァンに対して、巨大な拳を向かわせる。


 ヴァンの拳とニーズランドの拳がぶつかった。果てしない衝撃波が付近に響く。その衝撃波で、兵士や魔族やらが吹っ飛ぶ。それほどの、衝撃だった。


"すごいわね、あいつ"


 アリシアのその感想は、ニーズランドに対して向けられた。


 "闇の化身"を使用するヴァンは、時間制限はあるとしても、神クラスに片足を突っ込んでいる。その拳と真正面から対峙し、互角のニーズランド。


 ニーズランドは今、限られた命の中で、神クラスにすら到達したということになる。


 そのことに対してアリシアは、感嘆する。


 ニーズランドとヴァンの攻撃は真正面から打ち合われ、そして互角のまま、付近に圧倒的な衝撃が響く。


「すげぇ、あの勇者様、化け物と互角だ」


 兵士達があまりに高次元の戦いに対して、驚く。


 魔物達はいったん攻撃をやめ、ヴァン達の戦いにより生じる衝撃波から、身を守る。そんな、激しい打ち合いだった。


 


 ヴァンがその手に真っ黒なオーラをまとわせ、ニーズランドの方に放出させた。ニーズランドの前にワシが現れ、それが爆発し、ヴァンのその攻撃は防がれた。


 さらにヴァンの近くに数多の生物が現れ、それが爆発する。ヴァンはそれを"闇の化身"のオーラを球体のように自らの周りにまとわせることで、防いだ。


 そんな一進一退の攻防。だが、ヴァンは一進一退の攻防ではだめだ。ニーズランドはあと少しで、爆発してしまう。だからこそヴァンは、残り時間である十分ほどの間に、ニーズランドの息の根を止めねばならない。


 対するニーズランドは、楽しそう。


 ニーズランドは、正義であるヴァンを殺せれば、それで満足。そしてニーズランドが爆発すれば、必ずやヴァンが死ぬことを理解している。だからこそニーズランドは、一進一退の攻防でも問題ない。あと十分ほど時間を稼げれば、それでいいのだ。


 ヴァンは焦る。さらにまずいことに、その一進一退の攻防の中、ヴァンが押され始めた。


「くそ、スキル"闇の化身"!!!!」


 ヴァンが改めてそう叫ぶが、ヴァンの身体にまとわれるオーラが、だんだんと弱くなってきた。


 そしてとうとう翼すらなくなり、地面に降りてしまったヴァン。


「あははははははははは」


 ニーズランドは笑いながら、とある事実を理解した。


"魔力がきれましたね"


 ユーリの圧倒的な魔力を付与されたとしても、"闇の化身"を長時間使うことはできないようだ。


 地面に降りたヴァンに対して、ニーズランドの拳が向かう。


 もはやヴァンには、その身を守るほどの魔力もない。


「スキル"魔力水晶"」


「スキル"オールヒール"」


 レイラとサキが、ニーズランドの攻撃からヴァンを守るように、立ち塞がった。


「……負けない……」


 レイラが身体に魔力を込める。その背後から、サキが常時、回復を行う。だが、サキごとレイラが吹っ飛ばされた。そして改めてニーズランドの攻撃が、ヴァンに向かう。


 だが、再度レイラとサキが、ヴァンの前に立った。


「鬱陶しい」


 ニーズランドがそう口にした。ニーズランドは可能であれば、正義であるヴァンの命が尽きるところをその目に収めたいと思っていた。だが、それをサキとレイラが妨害しているという構図。


 何度も何度もレイラとサキが、ニーズランドの拳の前に、立ちふさがる。


 だが、肝心のヴァンは、もはや魔力が尽きており、何もできない状態。その息も絶え絶え。何かしたくても、何もできないヴァン。だが、レイラとサキは諦めず、ニーズランドからヴァンを守る。


"ヴァン君さえ守れば、きっと何とかしてくれる"


 サキはリーダーであるヴァンを信じているが、そのヴァンにはもはや、できることがなかった。


 そんなヴァンの脳裏に、声が届いた。


"ふふふふふふふふ、ヴァン君、まだ諦めてないよね?"


 ヴァンはその声に対して、頷いた。


 ヴァンのポケットの中が、熱くなっていた。

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