表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

321/405

第三百十九話:推し

「スキル"具現化するキャラクター"!!!!!!」


 レメロナがとある本を手に持ち、二人の男性が召喚された。イケメンな勇者とダンディな剣士であるその二人。


「くっ」


 レメロナが、鼻から血を流す。


 イケメン勇者の方が、殺戮の人形を上から押さえるように動き、その足を斬った。


 人形であるそいつには痛覚がない。さらに死もないが、殺戮の人形は動けなくなり、無力化された。


「きゃきゃきゃきゃきゃきゃ」


 殺戮の人形は歪な顔で、レメロナの方を見た。


 さらに、ダンディ剣士が有翼ガーゴイルに斬りかかり、有翼ガーゴイルのその身体が、真っ二つに斬れた。


 明らかに他のキャラクター達とは実力の違う、そいつらだった。


"この二人の召喚は、制約により長時間行えない。早めにけりをつけないと"


 レメロナはドクドクと鼻血を流しながら、そう思う。その制約とは、鼻血を流すことにより、徐々にダメージを負ってしまうというものだ。


「私はこの二人と共に、みんなを守るんです!!!!」


 そう叫んだレメロナは手に持つ、"イケメン勇者とダンディ剣士の秘密の密会"というタイトルのその本を、愛読していた。


 そして、その二人の推しキャラが召喚されたことで、レメロナはメロメロになり、鼻血を出す。


 そしてその鼻血により、勝手に追い詰められるレメロナであった。


 だが、その二人の実力はすさまじく、付近にいた魔族達をボコボコにした。


"ああ、尊い……♡"


 レメロナはイケメン勇者とダンディ剣士のその様を見て、喜ぶ。


 レメロナ付近の魔族は、そいつらに倒された。


 さらにその二人が、敵の方に向かい始めた。


「いっけーーー!!!!」


 レメロナがそう叫ぶ。レメロナがそのBLカップルに対して溢れんばかりの愛着を持っているからこそ、鼻血を出してしまうほどに推しているからこそ、そいつらの実力は、かなりのものなのだ。


「私は誇りを持って、この二人を推しています!!!!」


 レメロナは誰に告げるでもなく、そう口にした。レメロナの脳裏に、レメロナにそのスキルを渡した際のアリシアのニヤニヤ顔が、思い浮かんでいた。


 

 だが、レメロナの愛情は本物で、その二人がかなり戦線を強化してくれている。


 そのイケメン勇者とダンディ剣士が、地面から突如現れた茨により、がんじがらめにされた。


「トムとブラウン!!!!」


 レメロナが、そう叫んだ。


"そんな名前だったんですね、その二人"


 ニャロは、そのことを理解した。


「結構やるじゃない」


 そんな声が、レメロナ達に届いた。


 その声と共に、地面からうねうねと茨が現れ始めた。


 その無数の茨の中心に、他よりも一層太い、まるで大木の峰かのような茨が存在し、はるか上空に見えるその先端に、薔薇が一輪咲いていた。


 その薔薇が開き、上半身裸かつ緑色の皮膚を持つ女性が、そこから一同を見下ろしていた。


 薔薇に似合う綺麗な女性だが、冷酷そうな無表情かつその下半身が薔薇と同化し、存在していなかった。


「あなたが、この魔族達に指示を出していた方ですか?」


 レメロナが問い、その魔族が頷いた。


「わたくしは、上級魔族である薔薇女。ニーズランド様が率いるこの軍隊の、No.2です」


 薔薇女はその薔薇の中で、笑う。


「てことは、あいつを倒せば、魔族達の統率が取れなくなるってことだな」


 兵士達がそう告げてから、その茨に対して、剣を振りかざす。


「うふふふふふふふふふ」


 薔薇女が笑い、本体ではない茨を、その兵士達に向かわせた。そして兵士達は、弾き飛ばされた。


 ユーリが倒れた兵士達から回収した刃を持ち、空から薔薇女の本体であろう、人間状の部分に向かった。


 しかしユーリも兵士達と同じく、茨によりはじかれた。


「強い……」


 みな、そう理解した。


「うふふふふふふふふふふ」


 薔薇女は、優雅に笑う。


 茨に邪魔され、上空に存在している薔薇に近づくことすらできない。さらに付近に、魔族達が数多存在しているという、絶望的な状況だった。


「あなたが、このキャラクター達を召喚しているのよね」


 そのことを理解している薔薇女が、レメロナを見た。


 そして、レメロナの足元付近の地面から、茨が生えた。その茨により、身体を拘束されてしまったレメロナ。


「くっ」


 レメロナが、顔をしかめる。


「うふふふふふふふ」


 薔薇女が茨を締める。その攻撃により、レメロナの口から、血が出た。


 そんな、どうしようもない状況のレメロナ達であった。

 


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ