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第二百九十話:32日後

 落下しているニーズランド。ニーズランドは再度ワシを生じさせることもできる。だが、それを即座に選択しないのがニーズランドの恐ろしいところ。


"速度勝負はペガサスに分があるのが分かった。なら、同じことをしても意味がないですね"


 ニーズランドは笑う。


「なら、こうですね」


 落ちながらニーズランドは、ヴァン達の方に手を向けた。


「スキル"限られた命の輝き"」


 ニーズランドの手から放たれた真っ黒な影が、空に向かった。


「外した!!!!!!!」


 サキが影の軌道を見て、そう判断した。


 その影は遥か上空に向かっている。


"いや違う"


 アリシアはそう判断する。空に向かう真っ黒な影はペガサスの上空で破裂し、雨のように降った。


 防御する暇もなく、真っ黒な雨にヴァン達は身体が触れた。


「あはははははははは」


 ニーズランドはその光景を見て、笑った。


 そして地面に衝突する直前に"生物創造"でスライムを生み、それを地面に当たる際のクッションとした。


 そして無傷で立ち、逃げていくヴァン達を見る。


「あははははははははははははははははは」


 ニーズランドは、ただただ笑った。





「さっきの雨、ニーズランドのスキルだよね」


 サキが深刻な顔をする。


「頭に情報が流れ込んできます。あのスキルを受けたことにより、私達はあと32日後に爆発するみたいですね」


 ユーリがそう告げた。ヴァン達は決まった時間経過後に爆発する呪いを受けたのだ。幸いにもニーズランドから距離が離れた状態かつ受けたのも雨のような小さな影だったから、爆発するまでの期間には猶予があるようだ。だがそれでも、一つの確固たる事実が存在している。


"自分達は32日後に爆発する"


 その事実に対してユーリが、絶望的な表情をした。


「うちが、呪い消しを作るよ」


 サキがそう宣言したが、アリシアが首を横に振る。


「きゃはははは、無理ね」


 にやにや顔のアリシア。アリシアはニーズランドの攻撃を全て防御しきっており、呪われていない。


「なんで?」


「きゃははは、あいつはスキル"呪い消し無効"を持ってるの」


「なら、どうすれば……」


 サキが顔をしかめる。


「呪いをかけた本人を倒すしかないわね」


 アリシアは断言し、もはや小さくなったニーズランドの方を見た。本来目が合うはずもないのだが、ニーズランドと目があった気がした。


「あいつを、倒そう」


 ヴァンがそう宣言した。


「きゃはははは、そうね、それしか手がないものね。だけどあんた、ぼっこぼこにやられてたけどねぇ」


 アリシアはいやらしい顔をした。


「分かってる。だけど俺は、あいつを倒すしかないんだ。俺達の命のためってのもあるけど、あいつは、みんなから笑顔を奪う存在だから」


 ヴァンは目に涙をためていた。


 宿敵であるニーズランドに敗北してしまったのが、悔しすぎるのだ。


「きゃははははは」


 アリシアはその様を見て笑った。


「次奴と会う時までに、せいぜい強くなりなさい」


 そんなアリシア達を乗せて、ペガサスは空に向かった。


 



「……なんか、降りてる気がする……」


 しばらくペガサスにより進んだ折、レイラがそんな言葉を発した。


「むむむ」


 ユーリが顔をしかめる。


「ペガサスちゃん、疲れちゃってますね。あそこに国がありますから、休ませましょう」


 ユーリのその判断は至極真っ当で、ヴァン達はその国に向かった。


 そして、その国の中心地に降りたった。


「うわ!!!!! 神獣が降りてきた」


 ペガサスを見て驚く国民達。


「神官様もいるぞ」


「待て、あれは勇者のヴァンじゃないか? 魔帝八中将を二体も倒した」


 そんな感嘆の声であふれるその国。


「すいません、ペガサスちゃんを休ませる場所を貸していただけませんか?」


 ユーリの申し出に民達は頷く。


「もちろんです。神官様の頼みを断るはずがありません」


 そんな暖かい言葉を受け、ペガサスは芝生溢れる場所に案内された。


「数日休めば、体力も回復するでしょう」


 ユーリは民達の方に向き、頭を下げた。


 だが、ペガサス以外にも治療が必要な存在がいる。ヴァンとレイラだ。

 

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