表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/405

第二十五話:パーティーメンバー

「では、面接を始めます」


 椅子に深く腰掛けたアリシアが、対面に座る相手に対してそう告げる。そんなシーンの、少し前のことだった。





 ヴァンとアリシアは歩いていた。オフの次の日は普通にミッションを行う心づもり。ヴァンとアリシアはどんなミッションを行うか、巻物を見ながら考えていた。


「ヴァンか」


 不意に聞こえてきたその声の主は、勇者認定試験でヴァンと一騎打ちし、両名とも勇者になれた相手である"氷の貴公子"ことシュガルデだった。シュガルデもヴァンと同じく、勇者の服を身に着けていた。


「やぁシュガルデ、元気?」


 シュガルデはクールに頷く。


「ああ、悪くない体調だ」


"良いって言いなさいよ"


 アリシアはモヤモヤした。


 シュガルデの横に、15歳くらいの少女が立っていた。ピンクのショートカットの上に黒色のとんがり帽子をかぶり、同じく黒色のローブを身につけているその少女。


「その子は?」

 

 ヴァンが尋ねる。


「この子は、ミミっていう魔法使いだ」


 ミミと紹介された少女はお辞儀する。


 ヴァンも真正面からお辞儀を返す。


「ヴァンって言います。こっちはアリシアです」


 そんな丁寧なヴァンは、ミミを見て羨ましそう。ヴァンがアリシアに向けて、小声で話す。


「シュガルデはもう、パーティーメンバーを見つけたんだね」


「そりゃあ、あんな有能そうな勇者なら、すぐに見つかるでしょうよ。馬鹿っぽさが滲み出てるあんたとは違って」


 アリシアの暴言。


「ヴァンも、パーティーメンバーを見つけたんだな」


 シュガルデがアリシアを見る。


「あたしはパーティーメンバーではなくて、師匠なの」


「師匠?」


 シュガルデが訝し気な表情を作った。


「ええそうよ」


 アリシアは手をひらひらと振る。シュガルデは不思議そうな顔をするが、それ以上つっこむこともなかった。


「そ、そうか。ならヴァンも、いいパーティーメンバーを見つけられるといいな」


 そう言い残してシュガルデとミミが去っていったあと、ヴァンが口を開いた。


「俺も、パーティーメンバーが欲しい」


「なら探してみる? 確かに仲間がいたほうが、冒険は進みやすいでしょうし」


 ヴァンは頷いた。先ほどからの会話の通り、勇者は勇者をリーダーとしてパーティーを組める。勇者及びそのパーティーメンバーになりたい存在の両方が合意し、ミッション等を記す巻物経由で勇者協会に申請すれば、パーティメンバーとして認定されるというシステム。


"なんの職業の人を、パーティーに入れたらいいのかな?"


 そんなことを、ヴァンは考える。


 勇者以外にも様々な職業がある。魔法使いやら召喚術師といったメジャーなものから、噓吐きというマイナーな職業までたくさん。もっとも職業は、勇者協会に申請すればテスト等なく、容易になることができる。


 なることはできるが、給料が支払われることもない。勇者パーティーのメンバーは、ミッションクリアの報酬を勇者から分けてもらうことで、生計を立てる。


 言ってしまえば誰でも簡単に好きな職業になれるが、勇者にパーティーメンバーとして認められなければ、お金はもらえないシステムだ。


「そもそもパーティーメンバーって、どこに行けば探せるのかな?」


「あそこ」


 アリシアは指をさす。そこには看板を持つ青年が立っていた。


"勇者様、仲間に入れてください"と書かれている看板を持って、目を輝かせる青年。


"剣士です。きっと勇者様の冒険の助けになります"と書かれている看板を胸に掲げた少女。


 勇者の街には所々、そんな者達が存在していた。


「お、結構いるんだな。なら手当たり次第仲間にして……」


 アリシアがヴァンのみぞおちを軽く殴った。ヴァンは「くっ」という声を漏らした。


「烏合の衆を集めればいいってわけじゃないの」


 アリシアはパーティーメンバーになりたそうな奴らに対して"スキルチェック"を使用し、その実力を確認していく。


 とある青年剣士のスキル"元気3倍"を見たアリシアは「元気だけじゃ戦えないの」と独り言を口にした。そしてそれから、他の者達のスキルも確認し始めた。


"中速ステップ"のスキルを持つ舞踏家。


"霊感2倍"のスキルを持つ霊媒師。


"宇宙人大好き"のスキルを持つレスラー。


「どいつもこいつも、カススキルばっかりね、きゃはははははははは」


 アリシアの罵倒に対して、ヴァンは思う。


"仲間がいっぱいいたほうが、楽しいのに"


 アリシアも思う。


"ところで、宇宙人大好きってスキルなの?"


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ