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最終話 かくして世界は救われた


 勇者マルス、僧侶サリア、魔法使いルエルの3人の活躍により魔王はついに討たれた、その際に行われたパレードはあらゆる国々の建国祭を凌駕しその派手やかさは筆舌にしがたい美しさであったとか。


 魔王軍はといえば大幹部全てが討たれた事で組織としては瓦解、今では残党が一部地域を根城にしている程度である。


「......ふむ、時が経つのは早い」


 あれから4年、どうして俺が生きているのか。


「俺が知りたいくらいだ」


 あのまま死んだと思っていたが何故か今もこうして動けている、ただ魔王戦の影響は凄まじくで魔王城は地の底まで落ちていったのだろう、かつて城だったはずの瓦礫の山からどうにか這い上がり地上に戻ってきたころには4年ほどの時が経過していた。


「魔族にバレぬように静かに潜む事にしよう」


『煉獄卿モルド』の素顔はあまり知られてはいないはずだがもしもの事がある、現状魔王軍は瓦解している。しかし、もし四天王が生き延びていたと知られれば話は別、きっとまたあの戦乱の世が発生するかもわからない。


「勇者マルスと僧侶サリアが結婚し子も授かったようだな」


 出来るだけ目立たぬように町を練り歩いてある者の目撃情報を聞きながらその場所へと足を運んでいく。


「魔王がいなくなったら人間同士での争いか......勇者もさぞ大変だろう」


 勇者が語っていた世界の平和はもう崩れつつあるようで、まぁ頑張れと内心で語る。


 そしてある風の噂を耳にした。


「ある魔法使いがズリ村を復興しようとしている......そしての魔法使いの名が――ルエル」


 彼女の明確な居場所が判明した。


「行くしかあるまい」



 ■



 ズリ村、かつて魔王軍によって一夜で滅ぼされた悲劇の村、今は小さな小屋がポツポツと建っているに過ぎずかつての面影はない。


「旅人さんかい?」


 お婆さんが話をかけてきた。


「えぇ、昔馴染みのルエルという方を探していまして」

「あぁ......ルエルちゃんのお知り合いかい」


 村の何処かにいるはずだという、軽く辺り見渡しても見当たらない、こんな寂れた村だ見当たらないということは――


「......あそこか」


 記憶を頼りに秘密基地のあった場所へと向かう。



 ■



 小さな小川の近くにあった、遊び場、木々が生い茂る天然自然の空間だ。


 太陽の陽射しが周囲を照らす。


「......ここにもいない」


 いるとしたらここだと思っていた、だがよく考えてみれば彼女が子供の時に少し遊んだというだけで全てを把握している訳ではない。


「ふむ仕方がない、村で彼女が来るのを待つとしようか」


 場所を移そうとした時だった。


「――あたしの勝ちね――ズード!」


 懐かしい声が響く。


「――嗚呼」


 茂みから赤いショートヘアーの女が笑顔で......いや涙が溢れそうになりながら笑顔でこっちを見ていた。


「――ルエル」


 まさか俺が引っかかるとはな。


「い、色々と聞きたい事があるのだけれど......ねぇあんたは......四天王『煉獄卿モルド』で合ってるのよね?」

「生憎......今はズードで名を通している」

「――っ!」


 ルエルは笑顔で近づいて来た。


「そうなのねッ......遠目であんたを見つけた時、死ぬほど驚いたんだからッ」

「そっちこそ、まさかかくれんぼで俺に勝つとは......成長するものだ」

「あったりまえよッ、あたしこれでも勇者パーティの一人よ?」



 ルエルから魔王との戦いやその後の出来事を色々と聞いた。



「......それであんたはこの後、どうする気?」

「人目のつかない場所に潜むつもりだ、俺を担ぎ上げようとする魔族がいないとも限らない」

「なら都合がいいわねッ......ここに残れるって事でしょ?」


 確かにズリ村は目立つ地理とはいえないが俺がいる所為で迷惑がかかるかもしれない、人目のつかない場所ならばここ以外にもあるだろう、だが――


「ズード......」


 ルエルの瞳を見て。


「そうだな――ここに残る事にした」


 それはかつては出来なかった選択だった。


 彼女は俺のその選択を大層喜んでくれた――


「ならさ、家を建てるのだって大変だし......あたしの家があるんだけど、良かったら――あ、今のは無しッ!」

「ルエル、あの決戦の時の返答がまだだな?」

「返答?」


 まだ聞いていない俺が全身全霊をかけて聞いた勇気の問い。


「ルエル、結婚してほしい」

「――ぁ」

「......無理に答える必要もないが、何かしらの回答は欲しい」


 ルエルは顔を真っ赤にして――


「まぁ......してあげなくもないわ?一応助けてくれたからね?」

「そうか、ありがとう」

「どういたしまして......えっと......これからもよろしくね!」




 その後――ズリ村の少数の村人に婚約を発表した。


 ズードとルエルの結婚式には極々少人数のみが招かれて式もズリ村で慎ましやかに執り行われたという――

これにて完結です!

面白いと思ってくれた方は★やブックマーク、コメントなどよろしくおねがいします!

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