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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
98/115

第98話

ルチェルと月下の間での話し合いが終わるとドレッドは女装をやめてすぐさま学園へと向かった。


休みが多いと変な疑いを持つものがいたりするのはもちろん、ノウスと接触して情報共有をする目的もあるらしい。


ちなみにルチェルの依頼はもちろん断った。


【このギルドは王室の決定に異論を唱えることはできない。】と、割と適当な理由で断った。


ルチェルには申し訳ないけど何なら目の前に探し人がいたわけで……。


(まぁ、正直なところこのまま私、アリステラという存在がこの世界から退場することは悪い事じゃないと思うんだよねぇ……。)


いつまでか身を隠すことになっている現状だけど、正直に言えばこのままアリステラは死んだという事で新たな人生を歩みだすことだって悪い事じゃないと思う。


思うけど……


(その場合多分ルイスは頼れないし、じゃあドレッドを頼るってのも難しいし……。)


ルイスは昨晩の一件で頼れなさそうだし、ドレッドは闇ギルドのギルド長だ。


私をギルドの構成員にしてくれと言ったらおそらく嫌でも汚れ仕事もやらなくてはいけなくなる。


ドレッドの言う通り私にそれは無理だ。


(どこかでバイトでもする?前世の記憶はないけど、たぶんできると思うんだけど……。)


こういう時前世の私がどういう人間でどういう仕事をしていたとかわかればいいのにと思う。


いや、そもそも今の私と大して変わらない学生だったかもしれないけど……。


(まぁとりあえず今日は適当に街を回って、なんか気になる情報を話す人がいたら聞き耳たててみるかな。)


基本的にドレッドが学園に言っている時間は自由行動なわけで、まぁ、言わずもがな大体ルイスの生きそうな所へ行ったり、ルイスの雑貨屋凸をしたりしていたわけだけど……


それはする気にもならない。


(かと言えブティック行ったところでだしなぁ……。)


一応今の私の格好は仕事着ではなく、ドレッドが昔着ていた服を借りている状態でまぁ、どこにでもいる一般人という身なりだ。


だけどもちろん男の装い。


一般人女性は基本服は布を買って自分で作る。


男性は母親や奥さんに作ってもらう。


仮に意外といいところのお坊ちゃんを装っていったとしても男性貴族は基本オーダーメイドで服の型が店にある程度。


女性ほどショッピングを楽しむという習慣がないためショッピングを行うこと自体が怪しい行動になる。


(こういう時知り合いに会えたらって思うけど、その知り合いもあくまでアリステラの知り合いであってテイラーの知り合いじゃないしなぁ……。)


なんだかひどく退屈だ。


なんて、思ったことがいけなかったのだろうか。


「あれ、アリスさん。君ってそんな趣味があったんですか?」


私の耳元で突然全身が震えあがるような言葉が聞こえる。


いや、多分震えあがった理由は言葉じゃない。


聞き覚えのある声。


そしてその人物が――――――


「こんにちは。また会いましたね、アリスさん。」


先日の誘拐事件の作戦実行中に出会ったルイスの元カレ、ハーネスさんだったからだ。


「……ど、どちら様でしょう。それに僕はアリスではなく――――――」


別人。


あくまでそう装う。


そう思った時だった。


私の腕は力強くハーネスさんに引かれ、薄暗い路地へと引き込まれた。


そしてその勢いのまま私はハーネスさんに抱き寄せられた。


「あれ?もしかしてあの日が女装してただけで本当は男の子だったりします?なんていうか……抱き心地が女の子っぽくないですね、君。」


(なっ!!け、喧嘩売ってる!?この人!!!)


あの夜、女の子扱いをしてくれるハーネスさんを私はいい人だと思った。


だけどきっとあれは猫をかぶっていたに違いないと一瞬で思えるほどに私の中から怒りがこみあげてくる。


が、感情的になったらきっとばれてしまう。


(そもそもヴァルドは現実を受け入れられないのはともかく、なんでこの男はアリステラが生きてると確信をもってるの?しかも一度しかあったことのない人間の変装を見破れるのかも謎だし。)


明らかに要注意人物であるハーネスさんの腕の中から逃れよう。


そう思って思い切りハーネスさんの腕の中で暴れてみるけど、線の細い外見から想像できないほど彼の力は意外と強かった。


「おや、やっぱり女の子でしたか。非力でかわいいですね、アリスさん。」


「なっ……!」


非力という言葉。


その言葉になぜかひどく不快感を覚え反応してしまう私。


そんな私の反応を見るや否やハーネスさんはにっこりと笑った。


「ライラ・ウェルティエシアに君を死んだと思わせるためにルイスは頑張ったみたいだけど、残念。俺にはルイスの考えが手に取るようにわかるんです。君が死んでない事実なんて推理するまでもなかったんですよ。」


ハーネスさんは私を抱きしめたまま私の頬を撫で、嬉しそうに笑みを浮かべながら話す。


その笑みはやはり自分はルイスのことをよく理解しているという優越感からくるようなものにも思える。


(やっぱりこの人、まだルイスの事を……。)


警戒しないと。


私の全細胞がそういっている。


この男はやばい。


そう思った次の瞬間だった。


「ねぇアリスさん、君は男に生まれたかったって思ったことはありますか?」


「……え?」


突然の理解できない質問。


そんな質問が私に投げかけられ、私の頭は質問の意図を理解できず真っ白になるのだった。

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