表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
93/115

第93話

思いもよらぬ人物と遭遇した私たちは浮気の証拠集めの仕事を中断し、ギルドのドレッドの部屋に戻ってきていた。


ちなみにドレッドの私室の中にある別室。


そこが今の私の寝床だったりするのである意味ココは私の部屋といっても過言ではないのかもしれない。


そんな部屋に戻ってきたことで私とドレッドは胸をなでおろした。


「何であいつあそこにいたわけ?」


「いや、私が聞きたいんだけど。」


お互いに胸をなでおろしつつも顔を蒼白にしながら疑問をぶつけあう。


そもそも本当に何故私とばれたのだろう。


なんて思っていた時だった。


「あ~……いや、違うな。あいつがあそこにいる事は想像できなかったわけじゃなかったな。悪い。俺のミスだ。」


そういえばと言わんばかりに何か気づいたようにバツが悪そうな声でぼそりと言葉をこぼすドレッド。


どういう意味なのだろうと思いながら首をかしげているとドレッドは盛大な溜息をついて私を見つめてきた。


「まぁ、あれだ。俺が初めてあいつと出会ったときみたいにあいつは夜な夜な悪い奴らを王室の命令なのか自発的になのか懲らしめてるってことだ、昔と変わらず今もな。」


「……あぁ、なるほど。」


ドレッドから予測できた理由を聞いてピンときた。


原作では王室警備隊と行動を共にして夜に悪人をどうこうしていた。


王室警備隊がすぐそばに居なかったからすぐにあの場に居た理由がわからなかったのかもしれない。


ついでに今思えば服装がラフすぎたこともあると思う。


(……って、これってもう仕事であそこにいたわけじゃないよね?)


という事はどれだけ情報を持っていても事前にヴァルドの行動を予測するには監視の一つや二つつけておかなかった限り無理だったのでは?


と思えてきた。


「まぁ、後はお前に伝える必要はないと思っていたがどうもここ数日あいつの様子が【異常】ならしいからな。公爵家に人を送るのはリスクが高いからノウス・クラウドラインに情報提供を頼んでいるんだが、そう聞いた。」


「……そ、そっか……。」


ドレッドは【異常】と表現するヴァルドの様子。


その様子はおそらく大切な人を失った精神的ショックからくる異質な行動の事を言うのだろうというのがなんとなくだけど想像できた。


私もルイスを失ったら信じられなくて街を徘徊くらいするかもしれない。


多分、その行動は周りに【異常】と捉えられるに違いない。


(ドレッドは大切な人を失ったことがないからか、失った想像すらもできないのかな?)


それともヴァルドが強すぎてそんな心配すら浮かばないのか……。


(あ、大切な人と言えば……!)


「そういえばドレッド、どうして恋人設定にしたの?普通に部下ってだけでよかったと思うんだけど。」


わざわざ「恋人」という関係性を付けた理由がどうも理解できない。


ついでにあの場でどうしてキスも必要だったかも聞いておきたい。


もちろん、カウントはしないから気にしてはないんだけど……


「簡単だ。あいつはおそらくお前が死んでこの世界のどこにもいないという事実を受け入れられず奇行に走っている。そこにもう一つ受け入れがたい現実を突きつけたまでのことだ。「自分の妹は頭の可笑しい危ない奴と駆け落ちするために事件を利用して自分が死んだことにした。」というのをな。」


「……あぁ~、そういう。」


一瞬どういうことか理解ができなかった私だけど、よくよく考えると理解ができた。


つまり、テイラーが私であるとテイラーはアリステラという名前を捨て、ドレッドといちゃついていた。


つまり好きな人とずっといるためにわざわざ自分を死んだことにして駆け落ちしたという事になる。


そんな現実を受け入れるよりは「アリステラは事件に巻き込まれ死んだ。」と受け入れる方が容易なんじゃないかという事だ。


……ドレッドのヴァルドからの自己評価が低すぎてなんだかかわいそうに思えてきた。


が、それを言うと怒られることは理解できているのであえてそれは言わない。


「まぁ、一応その姿だったら昼間は好きに過ごしていいと言っているが、街に出る際は気をつけろ。他の兄弟たちは数日たったことで学園へ普通に通っているが、あいつはまだ学園を休んでいる。お前との接触を計ってくる確率は大いにあり得るからな。」


ドレッドは私に気を付けるように言って私の頭に大きな手を置き、軽く2回ほど叩く。


私の頭を叩くその手は大変な状況でも頑張らなければいけない私へのねぎらいのようなものに感じた。


「それと、一昨日みたいにルイスさんのとこにはいくなよ?あの人が接触を望む場合はここに来るか、適当にどこかしら店以外で接触してくるからな。」


「は、はい……。」


私の死亡偽装事件の後、ルイスとこの闇ギルド内で話し合って以来、接触がなかった私は一昨日しびれを切らしてドレッドが学園に行っている間にルイスの雑貨屋にそれとなく客として行った。


その瞬間ルイスに笑顔で「ハウス」と言われて闇ギルドに送り返された。


瞬間移動の能力を明かしたのをいいことになかなかの強硬手段を食らってしまったというわけだ……。


(あぁ……ルイス成分が足りない……。)


浮気の証拠集めばかりでいまいちルイスに有益な情報も得ることができていないし、そもそも全然会えないしで私はルイスに会いたい気持ちで今にも暴走しそうだ。


だけど迷惑はかけられない。


私はおとなしく自室へと戻り、就寝の準備をして眠りについた。


明日こそはルイスから接触がありますようにと心底願いながら……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ