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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
91/115

第91話

闇ギルドでお世話になり始めて10日ほどたった夜。


私はドレッドととある男を追いかけていた。


「闇ギルドって不倫の証拠集めもするんだね。」


私とライラ夫人の死について書かれた記事が出たその夜に早くも私の闇ギルドのメンバーとしての仕事は始まった。


でも私のしている仕事は闇ギルドの仕事というよりルイスの手伝いで何度か経験したことのある探偵っぽい仕事。


不倫の証拠集めをドレッドと2人行動で遂行していた。


(闇ギルドってもっとこう、危ない系の諜報活動や殺しとかの仕事しかないんだと思ってた。)


そう思いながらちょっと拍子抜け……というわけじゃないんだけど、危ないこともするかもしれないと警戒していた割に普通の仕事をすることになり何とも言えない感情を抱きながらドレッドを見るとドレッドはあきれたようにため息を吐いた。


「お前の想像通りの仕事もあるが、させられると思うか?というかそもそもお前に殺しができるなんて思ってないからな。」


「あ、うん、それは……絶対無理。」


殺しは無理。


それは闇ギルドに身を置くことが決まってからずっとひそかに思っていたことだった。


原作でドレッドについて描かれているシーンは大抵ドレッドが躊躇なく人の命を奪っているシーンばかりだった。


なんというか、そのせいで闇ギルドの仕事はそういうものなのかなって正直思ってた。


あとまぁ、人探しをしていることもあったけどその場合基本生死は問わないという依頼内容で、結局ドレッドは死体を依頼主に届けていたほど残忍な描写が多かった。


(私、本当にドレッドと友達になれてよかった……。)


ある意味ドレッドと皇太子殿下が一番危ない対峙相手だったと思う。


だから皇太子殿下はまぁ、まだ私を害すつもりがあるかないかわからないけどドレッドにその可能性がなくなったのは幸いだ。


(というか私が生きてるのを知ってるのって攻略対象の中でドレッドとファウスだけだよね?つまり実質私、ファウスさえクリアすればもう邪魔者だからと消される心配しなくていいのでは?)


今の今までライラ夫人の件で大事なことを忘れていたけど、そもそも私は「愛」よりも「殺意」を育んでしまった攻略対象たちの「殺意」から逃れることを望んでいた。


意外な形でそれが叶ったのかもしれないと思うと少しだけ気分が高揚してきた。


「テイラー、闇ギルドの人間がそんな子犬みたいな間の抜けた表情を浮かべるな。」


「はっ!す、すみません!!」


ついつい喜びのあまり顔がほころんでしまっていた私は仕事中は基本的には無表情。


笑みを浮かべても口元を覆い隠すマスク越しに笑っているようには見えないようにせめて目元は笑わせてはいけないというのが絶対というわけではないけど、基本的なことならしい。


その理由は感情の出し方は人それぞれであり、笑い方ひとつで個人の特定がされかねない為だという。


まぁつまり手練れであれば感情を大きく出してはいけないというのはないらしいんだけど、そもそも手練れであればあるほどそもそも感情を出すことをしないという……。


まぁ、ドレッドも原作ではヴァルドの前以外は基本無表情だったと思うしドレッドも例外じゃないんだと思う。


「後一応ギルドで二人、もしくはルイスさんを交えた3人になる場合以外は基本的にテイラーと呼ぶし、お前も俺をマスターと呼べ。良いな?」


「は、はい。マスター。」


闇ギルドの仕事モードのドレッドは表情を殺しながら私に指示を出しつつ、あたりを見回している。


そんなドレッドの姿を見て私はよくよく考えると「闇ギルドのマスター」として仕事をするドレッドを見るのは初めてだなぁと思い始めた。


ラーヴェンの支部に潜入するときのドレッドは猫かぶりモードだったし、私とルイスといるときも基本的には普通に笑う。


顔をマスクで覆い隠している今とは確かに同一人物に思えないほどに迫力と威圧感というのだろうか。


そういうのが違うように感じられる。


「テイラー、お前はここで待機していろ。二人で追えば悟られかねない場所にターゲットが移動した。理解できるな?」


「はい。」


ターゲットを目で追いながら指示を出すドレッドに私は了承の意を返す。


そしてその次の瞬間にはドレッドは近くの屋根の上へと軽々と移動し、ターゲットの追跡を始めた。


(よし、私はとりあえず問題を起こさずここでじっとしてれば大丈夫だよね。念のためターゲットが戻ってきたときの為に見張って――――――)


「アリステラ!!!」


(……え?)


待機とはいえ、やるべきことはやろう。


そう思った矢先、私の心がひどく乱されそれどころではなくなる。


聞き覚えのある声で私の名前を呼ぶ声が聞こえた私は声が下背後に恐る恐る後ろを振り返った。


するとそこには悲痛な表情を浮かべるヴァルドの姿があったのだった。

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