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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
89/115

第89話

アリステラとドレッドが煙幕を利用し、ライラ夫人の元から去る中、視界を真っ白に埋め尽くす煙幕の中ルイスはまるでライラ夫人がどこにいるのか理解しているかの如く煙幕によって姿が隠れているライラ夫人を見つめていた。


「あぁもう!!!動きなさいよ!この!!!」


魔導人形が動かないことで苛立ちの声をあげるライラ夫人。


本来であればこの煙幕は魔導人形と魔導士のコネクトすら絶つ代物だがそうはならない。


それこそライラ夫人が並みの魔導士ではないことを表していた。


「悪いけどじっとしててもらえないかな?あまり暴れられると僕は君の器を破壊しなきゃいけなくなるんだよね。」


苛立ちの声をあげるライラ夫人。


そのライラ夫人にどこかにこやかに話しかける声。


その声は他でもなくルイスだった。


「……この声、この間の夜も私とアリステラのお楽しみを邪魔した奴ね……!」


ルイスの声に覚えがあるのかライラ夫人はさらに苛立った声でルイスの声に反応を見せた。


そしてその反応の声を聴きルイスはにっこりと口元に笑みを浮かべた。


「思った通り僕が誰なのか、あの時ちゃんと認識してなかったんだね、夫人。ひどいなぁ、君の弟の元カレを忘れちゃうなんてさ。それも僕たち同士だって浅い仲じゃないのにさぁ……。」


どこか相手を馬鹿にするような見下す笑み。


普段のルイスとは思えないほどあくどい笑みがルイスによって浮かべられる。


そしてそんなルイスの言葉を聞いて煙幕で顔こそ見えないとはいえほぼ自己紹介ともとれる発言にライラ夫人はハッとした表情を浮かべた。


「……貴方、まさか……。はっ……、随分と小賢しいことをしてくれるのね。いえ、小賢しいのは昔からよね。善人とは程遠いずる賢くて欲張りなところは健在のようね、ルイス。」


ライラ夫人はルイスの言葉からルイスの事を特定すると少し楽しそうに会話を始めた。


ほんの少し苛立ちが消えたライラ夫人の口調からライラ夫人は再会を不快には思っていないことが伺える。


そしてそんなライラ夫人にルイスは笑いながら言葉を返した。


「あはは、僕の評価ひどいなぁ。うん、でもまぁ、否定できないや。確かに僕は欲張りだった。でもあれからちゃんと反省したんだよ?君の弟に恨まれて永遠に子供の姿から成長できない呪いをかけられてから、さ。」


ルイスは笑ういながらそう言い放つと静かにライラ夫人の前に立つ。


そして煙幕が少し引いたからか、夫人にルイスが近づいたからか、夫人はルイスを目視できるようになっていた。


「……声が違うと思ったら声変り前の年齢まで戻されていたのね。随分とかわいい姿じゃない?貴方ならまた抱かれてあげてもいいわよ?」


ライラ夫人はルイスの姿を見て嘲笑しつつからかいながらも口説くかのように声をかける。


けれどルイスはもちろんそんな口説きを本気にしない。


彼女の本心が嘲笑っていることを理解しているためか口論を続ける姿勢を見せるかのごとく冷静にライラ夫人に笑いかけていた。


「悪いけど年増に興味ないんだよね。僕の今の関心はアリステラにしかないんだ。ごめんね?」


ライラ夫人に対し、不敵な態度特徴で言葉を放つルイス。


そんなルイスの言葉にライラ夫人は何かに気づいたように表情をこわばらせた。


「……なるほど。これは貴方の作戦なのね。どういうつもり?貴方は私があの子を求めていたことを知っていたはずだけど?」


今しがたまで余裕そうな表情特徴だったライラ夫人。


それが一瞬にして崩れる。


再び苛立ちを見せ、余裕のなさそうな口調でルイスに問いかけた。


「……単純な話だよ。ずる賢くて欲張りな僕はあの子が欲しいんだよ。あの子がこれから経験するすべての初めてとすべての最後をね。」


ライラ夫人に問いかけられたルイスは笑みを崩し、真剣な表情特徴でライラ夫人に自分の思いを言い放つ。


そんなルイスの表情を見てライラ夫人は冗談でも何でもないことをすぐさま理解した。


そしてひどく呆れたような息を放ち、言葉をつづり始めた。


「はっ……ふざけたことを。あの子は貴方のタイプでも何でもないはずよ。女は美乳より巨乳派。男は体格の良いイケメンより線の細い美人派。どちらかといえばあの子はかわいい系のはずだけど?ねぇ、ただ私の邪魔がしたいだけなら引いてくれない?」


ライラ夫人は笑顔を崩し、冷ややかな瞳でルイスを見下ろす。


そしてルイスはその冷ややかな瞳をまっすぐに見つめながら口を開いた。


「僕も変わったんだよ、夫人。どれだけ美しくても人間性が伴わない人間は愛せない。だけどアリステラは違う。面白いんだよ。どんどん僕にいろんな欲望を抱かせてくれるんだ。あんな子はきっともう出会えない。だからね、永遠に彼女を誰の物にもさせないために今日ここで「殺そう」と思うんだ。」


ルイスは笑みを浮かべながら焦点の定まっていないような目でライラ夫人を見つめながら思いを語る。


そんなルイスを見てライラ夫人はおぞまし気な表情を浮かべ始めた。


「……何を、何をしようというの?貴方、まさかっ……!」


何かに気づいたライラ夫人。


だけどそれに気づいたところでもう遅いと言わんばかりの余裕のある表情を浮かべながらルイスは口を動かす。


「ごめんね、ライラ夫人。僕は貴方が言う通り欲張りだから。彼女に永遠の眠りを与えるのも僕がいいんだ。」


ルイスはそういいながら満面の笑みを浮かべた。


無邪気な子供のような笑みを浮かべたその次の瞬間だった。


激しい爆発音が聞こえると同時に船が大きく揺れる。


ライラ夫人と魔導人形とのコネクトが弱まっているせいかその大きな揺れに耐えられずライラ夫人が床に倒れこむとルイスは静かにライラ夫人に近寄った。


そして―――――――


「今のはアリステラがこの船柄の脱出用に乗ったボートが爆発した音で、揺れはもちろん爆発の風圧で起きたものだよ。アリステラたちには逃がしてあげるって言ってこの船の有事の際の脱出ボートの場所を教えてたんだ。でもね、逃がすつもりは無かったんだよ。あの子を好きな人間が多すぎるからね。永遠に僕のものにしたかったんだ。」


ルイスはにっこりと床に転がるライラ夫人に笑いかける。


魔導人形の操作ができず、会話しかできないライラ夫人はルイスの表情ではなく明後日の方向を見つめながらただただ絶望した表情に加え、言葉を失い続けるのであった。

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