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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
83/115

第83話

一応コルセットは軽く自分でつけ、ルイスに魔石に魔力を流し込んでもらった後に私は絵面的には子供と女性に手伝われているとはいえ、実際のところは男二人に手伝われ着替えを終わらせた。


なんかもう、本当私の尊厳がどんどん侵されていく気がする……。


そしてもう私はドレッドを男としてみることをやめた。


というかやめることにした。


ドレッドに着替えを見られてももう別に何も思わないどころかむしろドレッドが貧相な私の身体なんて見てどうこう思うわけもないと考えるとなんか私の着替えに立ち会うドレッドに逆に申し訳なさしか覚えなくなったからだ。


着替えが終わるころにはもう羞恥心なんて残っていなかった……。


「うん、ドレッドはいい才能持ってるね!アリスがいつもの何倍も可愛く見えるよ。」


ドレッドと何故かルイスの手伝いによって着替えが終わった私を眺め、ルイスが満足げに頷いている。


だけど何だろう。


素直に喜べない。


ドレッドのおかげで何時もの何倍もというルイスの言葉がちょっと引っ掛かる。


いつもと違う姿の私にときめいている。


そんな様子はみじんも感じられず、ただただ結果に満足といった感じに見える。


「……あのさ、ルイスさん。防御力高めたかったのはわかるけど流石に服、着こませすぎだと俺は思うんだけど。」


完成した私を見てどうも渋い顔をしているドレッド。


そんなドレッドの意見には正直私も賛成だった。


これからパーティーですと言わんばかりの盛り方だ。


そしてこんな格好で出歩いていたらいくら表的とはいえ意味もなく無駄に目立つ格好をしている人間に手を出すだろうか?


なんて思っているとルイスはいい笑顔で「これでいいの。」と言い出した。


「実は今日3番街である催しが開かれるんだよ。まぁ、貴族で言うパーティーだね。というか正直な話、普通の貴族が開くパーティーより華やかなパーティーなんだ。アリスとドレッドにはその催しに参加する客として目立ってきてほしいんだ。」


ルイスはそういうと私たちに封筒を渡してきた。


それは私も数回くらいは見たことある招待状だった。


「ちょっと待て。これって「バルーン・マジック」の招待状か!?」


招待状を見た瞬間ドレッドが驚きの声をあげた。


というか何、そのダサいパーティー名。


なんて思っているとドレッドはそのパーティーがどういうものなのかを私にもわかるように説明してくれた。


「バルーン・マジック」というのは言ってしまえば私たちの世界で言う「サーカス」ならしい。


だけどただのサーカスじゃない。


子供向けのサーカスというよりは大人の欲望を満たすために行われるサーカスらしい。


子供には到底見せられない危ないものから破廉恥なものまで何でもあるらしく、貴族もこっそり参加していたりもするらしい。


3番街という治安の悪い場所で開かれるにはそれなりの理由があるとは思ったけど、まさかそんなやばいものだとは思わなかった。


子供が付けたような幼稚なパーティー名からはてんで想像できなかった内容だ。


「というかルイス、私できれば見たくないんだけど、そんな催し。」


過激なスリルも欲情的な演出もできれば目にしたくない。


いくら作戦でも客として観賞しろなんて嫌な話だった。


「大丈夫、あくまで参加者を装うだけだよ。もともとその催しに行く人は何のカモフラージュのつもりか知らないけど身なりを華やかに整える。だから無駄に華やかにしても問題がないってところを利用したいだけ。大きな催しだし少なくとも数人くらいはアリスを狙ってるやつらも客として参加すると思うからうまく釣れたらいいなって感じなんだ。」


「……でも私、あまり夜会に出ないからそもそも顔覚えられてないだろうし、闇ギルドの人間は人目がある場所だと手を出しづらいんじゃなかったっけ?」


ドレッドが懸念していた通りもし別の闇ギルドに私の誘拐依頼が持ち込まれているとしたら少なくとも人が多い場所で相手が動いてくれるのを待つのは得策とは言えないと思う。


そしてもし普通に自分の手で私を捕まえたいと思っている人が来客の中にいたとしても似たような理由で手は出せないと思う。


というか正直、私、写真なんてとったことないしこの世界にある写真と言えば元居た世界でも原初の方のカメラなため、写真館ぐらいにしかカメラなどない。


その為まだまだこの世界では「絵」で情報を得ているのだ。


「確かにアリスの言う通りアリスの顔を知らない人がほとんどだと思う。だからアリスに名前や身分を大々的にばらしてほしいんだ。」


「ばらすって、どうやって?」


サーカスを見に行って「私はアリステラ・クラウドラインです。」なんて吹聴する機会なんてないと思う。


というかそんなことしたら逆に怪しまれると思う。


なんて思ってるとルイスはにこりと笑った。


その笑顔に嫌な予感がして私は背筋が凍るような思いをするものの、ルイスから作戦についての続きの言葉をただただ待つことしかできないのであった。

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