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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
82/115

第82話

「お前さ、ほんと馬鹿だよな。」


ルイスから私たちの役割を聞き、作戦に移るための準備としてドレッドに化粧を施してもらっている私は化粧しながらドレッドにあきれた声を向けられていた。


「普通に考えてあの人が素直にプロポーズなんてするわけないだろ。」


呆れた声で向けられるド正論。


でもあんな「責任をとる」なんて言い片されたらもしかしたらなんて思ってしまうのは仕方ないと思う。


それに……――――――


「でも、ずっとそばに居たらいつかワンちゃんあると思わない!?」


「ねぇ、なんでお前ってそんなにあの人の事に関してはあり得ないほどプラス思考なの?」


私の意見に真顔で返してくるドレッド。


そしてそうなったら逆にもはや結婚する理由がなくなりますます結婚からは遠ざかるのではないかと言葉を返された。


確かにそんな気がしなくもない。


「……ほら、できたぞ。まぁ、多少マシな顔になったな。」


ドレッドが化粧用の筆を直し、私に鏡を差し出してくれる。


(いや、化粧うますぎない?)


数日前にライラ夫人の夜会に行く際、もちろん化粧もしてもらった。


だけどその時と比べ物にならないほど腕がいい。


普段私が夜会に参加しない上、いわゆる奥様がいないクラウドライン家のメイドがある程度化粧慣れしてないのはわかるし仕方ない。


だけど化粧がほとんど不要なドレッドの腕に遥か及ばないとは思いもしなかった。


ドレッドの言う通り、マシ……いや、自分で言うのもなんだけど美少女に見える気がする。


「なんだろう、すごく複雑。」


自分で化粧できないどころか男であるドレッドに遠く劣る自分。


女子力ってなんだっけ?


と現実逃避したくなってきた。


「生きるために必要な手段だったからな。それこそ年端も行かなかったころは魔法なんて使わずに女装してたからな。」


「え?どうして使わなかったの?」


「魔法が使えるなんてばれりゃ売られるかもっとやばい仕事させられるだろう。単純に身を護るためにばらさなかったんだよ。」


ドレッドの言葉を聞いてそういえば魔法は誰もが扱える物じゃなかったと思い出す。


周りの人間が当たり前のように使える人ばかりだからついつい忘れていた。


(そういえば原作でルイスは魔法を使ってなかったけど、何か使えるのかな?)


仮に使えるならどんな魔法が使えるのだろう。


なんて思うけどその好奇心は胸の内に仕舞っておくことにした。


「さて、後は着替えだけか。ルイスさんを呼んでくるから待ってろ。」


複雑な気持ちを抱えている私など気にも留めず、ドレッドが静かに部屋から出ていく。


ルイスは今別室で私の服を見繕っているから呼びに行ってくれたのだろうけど……


(ルイスとドレッド、二人きりにするのすごく嫌……。)


ドレッドのお相手はあくまでヴァルド。


そうは思うけどそれだってヴァルドが私を好きになったみたいに絶対と言えることではない。


ドレッドにその気はなくてもルイスがドレッドに興味を持つことは大いにあり得る話だ。


「……可愛いとかきれいって思ってくれるかな……。」


ドレッドに手渡された手鏡の中の私をぼんやりと見つめてみる。


何時もより何倍も女らしい仕上がりになっていると思う。


流石に化粧をした私は仮に胸がなくても男の子には見えないと思う。


(……練習しようかな、お化粧。)


一応、若い令嬢がパーティー以外で化粧をするのは肌の為にも良しとされていないこの世界。


だけどそんな常識なんかどうでもいい。


ルイスにもっと魅力的な人と思ってほしい。


そう思いながら私はルイスを待ち続けているとルイスは大量の服をもって部屋に現れた。


「ごめんね、アリス。防御力をあげようと思ったらいっぱいになっちゃった。」


にっこりと笑みを浮かべながら部屋に入ってくるルイス。


そんなルイスの後ろであきれた表情を浮かべているドレッドも服を持っている。


(え……今夏前ですが着こむんですか?)


あまりの量にそう思わずにはいられない。


それほどまでにすごい量だ。


「ライラ夫人におとりとして捕まるってことは貞操の危険があるってことだから選ぶの頑張っちゃったんだ。まずはこれ、貞操帯!」


「…………へ?」


選んだものを意気揚々とお披露目してくるルイスが手に取ったもの。


その最初のものに私は驚きが隠せなかった。


ルイスの手に持たれているのはスクール水着のような形状のコルセットだった。


ただあくまでコルセット。


腰元にたくさん紐があり、搾れるようになっている。


普通のコルセットと違うと思わさせられる個所といえばやはり股下にまで布があるという事、そして胸元に何か石がついているということだ。


「実はこれは一部貴族の御用達アイテム、役割は貞操帯なんだけど、名称は魔法のコルセットっていうんだ。このコルセットの胸元の石は魔法石になっててね、着用後に魔力を注ぐとその人間にしかコルセットを脱がせることができなくなるんだ。」


「…………え?」


生き生きとコルセットについて語るルイス。


確かに貞操帯と言われて想像する者は貞操を護るために頑丈に大事なところが護られ、中には鍵なんかがついているものも想像できる。


だけどふつうそれって鍵は自分で管理するものだよね?


だって、じゃないと――――――


「あの、お花を摘みたいときはどうすれば?」


「大丈夫。このコルセットをつけてるときは尿意に襲われなくなる優れモノだから。」


素晴らしい笑顔で恥ずかしい事にはならないことを語ってくれるルイス。


だけど私はこの魔法のコルセットが自分の身を護るために必要なものだということは理解できても優れモノだとは思えない。


だって――――――


(なんか、いろいろ尊厳とかを奪われてる気になるのは私だけ?)


確かに使用する人によってはこのコルセットはありがたい代物かもしれない。


だけどこんなものがつくられる世の中って、なんか本当、なんだかなぁと私は思わずにはいられないのだった。

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