第7話
「はい、アリス。お土産だよ。」
もう陽も落ち、あたりが真っ暗になった為私はルイスにもらった服のまま首輪だけははずさせてもらい帰ることとなった。
恥ずかしいのでどうにか首輪だけは勘弁してくださいと頼み込んだ結果、確かに夜道に首輪をしていたら変な性癖の男に目を付けられるかもしれないということではずすことを許可していただいた。
が、ある意味ルイスはその変な性癖の持ち主なのでは?と言いたくてたまらなかったけど後が怖いのでいうのをやめた。
そしてルイスに見送られ家へと帰ろうと思ったその時だった。
ルイスが私の手を掴んだ。
「言い忘れてた。明日夜、20時に3番街シャテリアでデートだよ。今渡したお土産の中に僕好みの正装入れといたからちゃんと着てきてね。」
お土産と言って渡された袋は片手で持てる者のなかなかのサイズのものだった。
一体何が入っているのだろと少し思っていたけれどルイスの言葉で疑問が解決した。
ルイスの事だ。きっと素敵な服が入っているのだろうと楽しみになってくる。
そんな袋の中身に想像を膨らませていた時だった。
ルイスは掴んでいる私の手に体ごと近寄り、私の手をルイスの頬に当てた。
「夜道、気を付けて帰ってね。」
笑みを浮かべながら言われるけれど、まるで離れたくないといってくれているようなルイスを見て胸が高鳴る。
が、流石に今日は帰らなければならない。
でなければ私の中の狼が暴れ、ルイスに触れてはお仕置きを食らうかもしれない。
というか最悪嫌われたらいやなのでおとなしく今日は帰りたい。
そんな私はルイスの言葉に頷き、屋敷へと向かい歩き始めた。
ルイスは私が見えなくなるまで私を見送ってくれ、私はそんなルイスが見えなくなってしまう曲がり角まで来ると手を振ってもう一度別れを告げた。
もうすでに会いたい気持ちが膨らむけれど私はそんな気持ちを押しのけ、駆け足で屋敷へと戻った。
そして隠し通路を通り部屋に戻るとルイスが見立ててくれた服を脱ぎ、ネグリジェに着替え、あたりを見回す。
(うん、今日も誰も部屋に入ってきた痕跡はないよね。)
私は今日のようによく屋敷を抜け出し街へと繰り出している。
その時は大抵疲れたから早く休むからと言って部屋を閉め切り、隠し通路から街に出かける。
その間誤って人が入ってきてはいけないからもちろん鍵を閉めてはいるものの何かあった時に空けれるよう合鍵は書斎で管理されている。
絶対に入ってこれないわけじゃない為帰宅すると必ず異変がないかを確認しているというわけだ。
もちろん、早く休むといった日は私は睡眠が浅いから絶対に近寄らないでと兄たちにはもちろん、使用人たちにも言っている。
だから近づかれることはないけれど一応念には念を入れているというわけだ。
(さて、それじゃあルイスの用意してくれた正装を見て今日は寝ようかなぁ。)
女の子にプレゼントなんてしたことないというルイスから一日二つもプレゼントをもらってしまった。
その事実に胸を高鳴らせながらお土産と言って渡された紙袋を開ける。
すると服と別に黒髪のウィッグと香水とレンズの入っていない眼鏡が入っていた。
(これは正装をするときにつけろってことかな?)
服以外にも入っているとは思わなかった私は入っている意図を考えた。
そしてついに入っている服に手を伸ばし、デザインを確認した瞬間だった。
(な、なんじゃこりゃ!!!!)
私は手に取った服を見て心の中で叫んだ。
ルイスの好みの正装。
それがとんでもないデザインだったのだった。