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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
53/115

第53話

「ってわけなんだけど、これってお前から見てどう?これは愛だと思う?」


自分の生い立ち、そしてヴァルドとの出会いを意外なことにいろいろと話してくれたドレッド。


ゲームでも語られなかった二人の本当の出会いに私は驚きつつ、真面目にドレッドの言葉に考えを巡らせた。


……そして――――――


「まだ、答えを出さなくてもいいんじゃないかな?」


私はドレッドの頭に手を置き、軽く撫でる。


腕を少々痛めているため長くはなでれないけど、少しだけ撫でた。


…………正直にうれしい。


ドレッドが相談事をしてくれる日が来るなんて思わなかった。


そして、こんなに素直に話をしてくれることにも嬉しさを感じずにはいられない。


だからこそ私も原作のプレイヤーでシナリオが好きだからとかじゃなくて真面目に考えた。


私が愛といえばドレッドは「これが愛なんだ」って思うかもしれない。


でもこれに関しては「原作ではそうだったよ!」みたいな感じで決めつけちゃいけないって思った。


それに私が生きていることでもしかしたらドレッドの感情は愛は愛でも恋愛じゃなくて変わって友愛に近いものなのかもしれないとも思わないこともないからだ。


……だって間違いなくルイスの家に入り浸ってる時間の方がヴァルドに会ってる時間より長いよね?って思うんだもん。


「いっぱい考えればいいよ、ドレッド。」


私は少し微笑ましいドレッドのヴァルドへの思いに胸があったかくなった。


そんな私の表情に一瞬ドレッドは驚いたようなそぶりを見せるけど、その次の瞬間。


「何その顔。なんかうざいよ、お前。」


ドレッドは小さく照れくさそうに笑って私の鼻を引っ張り上げたのだった。





「え?クラウス王子からお見舞い?」


ドレッドと談笑していると公爵家に私の現状報告をしに行ったルイスが戻ってきた。


そしてお見舞いだと花束を預かったといわれ、ルイスに手渡された。


(どうしよう、すごく要らない。)


ここでもらうのはもちろん邪魔になるし、それに何よりもらう理由がない。


一応公爵家の令嬢だから気遣ってくれているのかもしれないけど、そもそも下剤を飲まされた今、私が花束を見て思い出すのは私に媚薬を盛った日のクラウス王子の顔。


(なんかイラついてきた。)


あの日どっかの誰かさんが余計なことをしなければルイスが私に下剤を飲ませるお仕置きなんて思いつくことはなかったかもしれない。


そう思うと本当、めちゃくちゃ蹴り飛ばしたい。


「俺花束貰ってイラついてる女の子、初めて見たかも。」


「あはは、僕もかな。」


花束をもらい嬉しそうな顔をしない私を見てドン引くドレッドとその隣で私の態度を面白がっているルイス。


「別に、花が嫌いとかじゃないんだけど……。」


一応花が嫌いと思われたら何だと思い、花が嫌いでイラついているわけではないということを伝える。


というか私、そういえばルイスには媚薬は誰に盛られたとか言っていない。


もし言っていたらこのタイミングでお見舞いというのを渡してこない気がする。


(別にいう必要もないんだけどさ……。)


何も考えてなかっただけだけどちょっと隠し事をしている気分。


だけどこれはこれでなんか背徳感に近いものがある気がするとか思ってしまう私は相当なのかもしれない。


「おいアリス、どういうわけかわからないが花を飾るのは気が進まないならその花で飲み物でも作ってやろうか?」


「え……そんなことできるの?」


突然にこにこしながらおしゃれなことを提案してくるドレッド。


料理ができる理由はさっき飲食で働いてた時期があるって聞いた時点で納得したけど、花を使ってどうこうはなかなか洒落たお店のシェフでもないと難しそうなのに……


「ドレッドって実は有能なんだね。」


「おい、少なくとも俺はお前よりは有能だろう。」


心の底から感心した私は思っていた言葉をポロリとこぼす。


言い方が悪かったせいで本性丸出しのドレッドに苛立たし気に睨まれる。


が、なんかもうこのドレッドが怖くないと思えるほど本性に慣れてしまっているため「ごめんごめん。」と軽く謝罪をしてその場を収める。


ドレッドはそんな私の軽い謝罪で色々私の心情を読み取ったのか「ったく……。」と言葉をこぼし、花束を雑に掴み上げて部屋から出ていった。


「なんていうか……仲良くなったね、二人とも。」


「え?あ……うん、そうだね!」


部屋から出ていくドレッドの背中を見送り、ルイスが言葉をこぼす。


そんなルイスに私は素直な気持ちを言葉にした。


すると――――――


「へへ、ちょっと妬けちゃうかも。」


ルイスは笑う。


だけどそれは天使のような笑みではなく、ちょっといたずらな悪魔のように色っぽく、どこか挑発的な笑み。


そんな笑みを好きな人に向けられたらもう見とれることしかできない。


「あ、あの、ならそろそろ正式に私を独り占めできる関係なんて――――」


「うん、いつかね。」


ルイスに見とれた私はいつも通りアプローチをしてみる。


だけどいつも通りルイスにはあっさりと交わされてしまう。


(もう、本当にどうしてっ……。)


いつまでたってもあと一歩進めない関係。


その関係にもどかしさを感じながらも私は私を悩ませている本人の手に撫でられ、

もどかしさを感じながらも癒されるのであった。

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