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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
51/115

第51話

「それじゃあいい子で待ってるんだよ、二人とも。」


もうすっかり陽も落ちてきたのに公爵家に一応私の現状報告をしに行くといって出かけることになったルイス。


下剤のせいで全く動けない私の介護にドレッドが残され、私たちは出かけるルイスを見守った。


「ねぇねぇ、アリス。なんだか出かける息子を見送る夫婦みたいじゃない?俺たち。」


「それ、ルイスに言ったら縛り上げられて鞭うちされるよ?ドレッド。」


胡散臭い笑顔を浮かべながらとんでもない発言をするドレッドに冷静に言葉を返す。


あえて夫婦という点に触れず、ルイスの子供扱いにだけ触れてみる。


するとドレッドは「あはははは。絶対嫌だなぁ」と笑いながら感情が見えない言い方で言葉を返してきた。


「……というかさ、ルイスさんも馬鹿だよねぇ。俺がアリスに手を出さないとでも思ってるのかな?こんなに可愛い子が動けない状態でベッドに、なんてたまらないシチュエーションだと思わない?」


どこまでからかうつもりなのか、変な雰囲気を作って私に顔を近づけてくるドレッド。


出来れば動かしたくない腕を動かしてドレッドの顔を軽く押して遠ざけた。


「一応聞くけど可愛い子ってのは可愛い女の子って意味?それともかわいい男の子って意味。」


「可愛い子」という言い方が妙に引っ掛かったため一応問いかけてみる。


するとドレッドは胡散臭い笑顔をさらに胡散臭く塗り固めて―――――


「男の子。」


想像通りの言葉を吐いた。


「変な悪戯したらヴァルドに言いつけるから。」


「……お前本当可愛くないよな。」


真顔でドレッドの冗談に付き合う元気がないことを伝える私。


そんな私にドレッとは口元を引くつかせながら悪態を吐いてきた。


が、別に本当にドレッドに可愛がられる必要はない。


一応今回の事で本当に言葉通り私を助けてくれるんだってことが解った。


殺されることがおそらくないとわかったからか気兼ねなく接することができるのは正直うれしい。


そして気兼ねなく接することができるようになったところで一つ聞きたいことがある。


「ところでドレッドはヴァルドの女装を見てどう思った?何を感じた??やっぱりムラムラした?」


もちろんそれはヴァルドについて。


やっぱりどれだけ男の子みたいと言われようと私も女の子!


恋バナがしたいという気持ちはどうしても抑えきれないのはもちろん、ブランのイベントの結末が変わってしまったこともあってヴァルドとドレッドの方はどうだったのかというのが単純に気になる。


そんな気持ちから問いかけるとドレッドはまた口元をひくつかせた。


照れるような反応じゃないのは正直つまらないけどドレッドをひくつかせるのは鼻を明かすみたいで楽しい。


ニヤニヤしながらドレッドの返事を待ってるとドレッドはあきれたようにため息をつき、近くの椅子を私が眠るベッドの傍に引き、そこに座った。


「ねぇ、どうして俺とドレッドでそういう想像するわけ?そこ詳しく教えてもらえる?」


心に余裕がないのか低いトーンで語るドレッド。


これは割と本心で色々話してくれるのではないか。


そう期待を込めながら私はドレッドに言葉を返した。


「だってどこからどう見てもヴァルド大好きだもん。ドレッド、ヴァルドにだけは殴られて喜んでるし、いじめたいけど痛めつけられたいみたいな感情が見えるというか……少なくともヴァルドが特別って感じ、すごく伝わってくる!」


攻略対象組だとドレッドが断トツ一緒に居る分いろいろなものが見えるというのもあるけど、やっぱりドレッドの弱点はいつだってヴァルドだ。


さっきもヴァルドを持ち出したら黙った。


というか察しのいいドレッドならヴァルドとのことに私が察しがついてそうなことぐらい察していると思っていた。


まぁ、普段の素振りは女好きそうだからふつうそんな発想にならないんじゃない?と言われればもうなんとなく雰囲気でと答えるしかないけど。


なんてことを思っていた時だった。


私の前髪のドレッドの手が軽く触れた。


「……ドレッド?」


何でいきなり触ってきたんだろう。


そう思ってドレッドの名前を呼ぶとドレッドは低めのトーンのまま話し始めた。


「ヴァルドのことは好きだ。けど、どうなんだろうな。俺はお前のもつ「好き」と同じような純粋な「好き」を知らない。愛は親から教わるというが教えてくれる人間もいなかったしな。」


(…………あれ?)


あまり身の上話をするようなキャラだと思わなかったからちょっとだけ驚いてしまう。


ドレッドは確か過去を暴かれない限り自分から話さないでイベント配信などの特別ルートで自分の過去回想があるくらいだった。


(な、なんか、いいのかな?)


なんだかこんな特別感、良いのだろうか。


なんて思うけれどその話を聞かずにはいられず、私は黙ってドレッドの話を聞くことにしたのだった。

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