第41話
【く、来るなブラン!俺は今おかしいんだ!お前をどうにかしたくて仕方がない!!頼むから近寄らないでくれっ……!】
息を乱し、頬を赤く染めながらまるで小動物のように震えている。
不思議だ。
そんなルチェルに何故か俺は興味がわかずにはいられない。
何時もは横暴で俺様で、何をするにも突っかかってきて、面倒くさいだけの男だと思っていた。
だけど――――――
【苦しいよね、ルチェル。大丈夫、怖がらないで。俺が君を楽にしてあげる。】
あまりにも震えるルチェル。
触れば壊れてしまいそうなくらいにおびえているようにも見えるルチェルを俺は壊さないようにそっと触った。
そして怯えながらも物欲しそうに俺を見つめてくるルチェルをみて俺の胸によくわからない感情が高まってくる。
何故だかわからないけれどこの高まっていく感情を抑えられる方法は一つだけ。
そう最初から知っていた可能ように俺はルチェルにキスをした。
恋愛の本でみたように相手の唇を啄むようにキスをするとルチェルの口がほんの少し開いた。
どうしよう。
どんどん好奇心が抑えられなくなっていく。
俺は少し空いたルチェルの口の中に舌を入れ込んだ。
そしてもっと、もっととどんどん深く唇を重ね、互いの下を絡め合う。
今、俺の中に高まってくる感情。
それはキスをする前とは違う感情。
とても心地よくて、そして―――――――
【ねぇルチェル……俺の事、抱ける?】
淫らに俺を壊してい―――――
「はっ……!!!」
ブランとルチェルのイベント。
それをまるでゲームの画面越しではなくまるで壁になって二人を見守っているかのような感じで眺めていた私。
けれどそれはこれから18禁シーンに突入しようというところで終わってしまい、今まで見ていたのが夢であったことを理解させられた。
(ゆ、夢でよかった……。)
ゲームのシナリオ通りのブランの語り。
けれど夢と今のブランは違う。
研究のためにと誰でもいいから手を出すような真似は家族として好ましいはずがない。
(さて、そんなことになる前にブランを探しに―――――――って、ん?)
ブランを探しに行こうと思い上体を起こしたその次の瞬間だった。
(首輪がついてるぅぅぅぅ!!!)
私はなぜか肌着姿な上、鎖付きの首輪でベッドの上につながれていることことに気づく。
一体何がどうしてこんな状態になったというのだろうか。
というかこれは一体何プレイなのだろうか。
なんて思って衝撃を受けていたその時だった。
どうやら私のいる部屋はまた別の部屋ともつながっているらしく、扉が少しだけ空いているせいかそちらから声が聞こえてくる。
一体何の声かと思い、扉に近づいたその時だった。
私の背後から勢いよく手が伸びてきて、その手が扉を閉めてしまった。
「駄目よ、私のかわい子ちゃん。あっちの部屋は今とぉっても気持ちいことをしている最中の人たちばかりなの。邪魔しちゃ悪いでしょ?」
ひどく艶やかな声を耳元で囁かせてくる女性。
それはとても警戒心を抱かずにはいられないライラ夫人の声だった。
そして恐る恐る振り返るとライラ夫人は女性の私ですらドキッとしてしまうような下着姿で私の身体を夫人と扉で挟みこんでいたのだった。




