第4話
「こんにちは、ルイス!!」
愛しのルイスの営む雑貨屋に息を切らしながらも笑顔で入る私。
そんな私を見るや否やルイスは笑顔で私を出迎え、小柄な体でとてとてと駆け寄ってきてくれた。
「いらっしゃい、ぺちゃぱいのアリス。」
にっこりと天使のような微笑でぐさりと刺さる言葉を言ってくるルイス。
言い方でお気づきかもしれないがもちろんルイスは私が女であるということは知っている。
それを知っているというのにただでさえ疲れている私に疲れているとは知らないとはいえなんてダメージの大きい攻撃なのだろう。
「あ、あのね、ルイス。私今日はいつも以上につかれてて……ちょっとだけでも抱きしめさせてもらえたりなんて……」
「あはは、そのまな板僕に押し当てる気?膨らませてからいいなよ。」
恐る恐る尋ねる私に笑顔でさらに精神ダメージを与えてくるルイス。
本当にこの天使のような小悪魔……ってか悪魔は容赦がない。
なんて思っていた時だった。
「いい子いい子。待てができてアリスはいい子だねぇ~。」
駄目といわれて大人しく引き下がる私を見たルイスがルイスの精神攻撃により項垂れる私の頭を軽く背伸びをしながら撫でてくる。
その手はとてもやさしくて心地よくて、言い方はともかく「やはりルイスは天使。」なんて思ってしまう。
人間優しくされると調子に乗るものだ。
なでてくれるということは癒してくれるということと調子に乗った私はルイスを抱きしめようと手を伸ばす。
するとその手はルイスに叩かれた。
「駄目だよ。アリスから僕に触るのは禁止って言ってるでしょ。」
天使のような見た目で小悪魔のように魅惑的な笑みを浮かべるルイス。
触ることを許されなかったことに半分涙目になるも、そんな顔されたらもう何も言葉が出てこない。と、私はルイスに触れるのを諦める。
今日も今日とて弄んでくるルイス。
大体いつもこんな感じなのだ。
でもルイスは意地悪に見えてとてもやさしい。
「アリス、何時ものところに座ってて。僕店の看板下ろしてくるから。」
雑貨屋はまだまだ営業時間内。
でも私が疲れてやってくるとルイスは店の営業より私を優先してくれる。
商売人がそれでいいのかと言いたくはなるけどそれでも優先してもらえることがとても嬉しい。
でも、優しくするならとことん優しくしてくれと思わなくもない。
「あの……ルイス……。私はいったいいつになったらお触りが解禁されるの?」
店の看板を下ろし、お茶を入れてくれたルイスは二人掛けのテーブルに座る私の膝の上に座ってお茶を飲みだす。
そして私にもたれかかってきながらお茶を飲んで、その柔らかい髪を私の頬に当ててきている。
こんなかわいい生物、抱きしめたいに決まっているのにルイスはやはり私から触らせてくれない。
少し前に膝の上に乗ってるなら少しくらい触らせてもらいたいとお願いしたら「いつかねぇ」と帰ってきた。
なんかもう本当飴と鞭を交互に与えられている感じで私は正直、変な性癖を開花させられそうになっている。
というか開花されているかもしれない。
お預けはお預けでちょっと興奮してしまっている気もしなくもないけど認めたくないというのが現状だ。
それに何がひどいというとルイスは絶対私から触らせてくれないのにルイスは私にひどく触る。
今だってルイスの椅子となってしまっている私の頬をルイスは軽く息を当てながら撫でてくる。
(いや本当、何の拷問ですか?これ……)
ルイスの事だから恐らくわざとなのだと思う。
触り方がいやらしい!!
……気がするけどきっとわざとで思い込みなんかではないと思う。
つまり恋人ではなくなんか従僕関係にも近い子の関係だけど接し方から私に対し興味はあるのだということはわかる。
家族以外の人間で腹の中で私を消そうと考えていないルイスという存在。
その存在がどれだけ私に安らぎを与えてくれているかなんてルイスは知らないのだろうなと思いながら私は今日も私の中の狼を抑えながらルイスの入れてくれたお茶を飲むのだった。