第3話
(はぁ……今日も疲れた。)
面倒なそれぞれの攻略対象と別れ、私たちクラウドライン兄妹はノウスを除いて
馬車に揺られながら屋敷へと帰っている。
何故ノウスがいないのかというとノウスはファウスと街に遊びに行ったからだ。
何時ものごとく私も連れていかれそうになったけどとっさにブランが私を抱きしめ、誘拐を阻止してくれた。
そう、本当にいつも誘拐のごとく強制的に連行されるからいい迷惑なのだ。
ノウスの事は好きだけどどうしてもノウスの隣で「お前邪魔、お前邪魔」という負の感情を大いに乗せた視線を送ってくるファウスの事を考えるとできるだけ3人で行動したくない。
そして本当、いつかファウスには大量の呪いをかけてくるという行為をやめてもらいたい。
(私が癒しの魔法使えなかったら本当もう死んでそう……。)
癒しの魔法を使える人物はある程度呪いに耐性がある。
だからどうにかこうにか大事になることはないけれどやはり呪われるということ自体は心地いいわけがないので本当に本当にやめていただきたい。
でも今日はおそらくもう呪われることはないだろう。
何故なら今ファウスは大好きなノウスと二人きりでデートを楽しんでいるはずだから。
なんて思っていた時だった。
「アリステラ、本当に婚姻の件は気にしてはいけませんよ。」
断っても断ってもしつこく婚姻を求めてくる第一皇子の行動にすこし呆れたように言葉をこぼす長男ヴァン。
ヴァンは我が家に男はたくさんいるから女である私は自由に生きてほしいと思ってくれている。
それこそいつか平民の男を連れてきても本当に私を大事にしてくれそうなら反対はしないと誓ってくれている。
正直まぁ、お目当てというか「好きな人」はいたりする。
ゲームではお相手が固定のためそれぞれのルートによって操作するキャラは変わるけど基本的にクラウドライン家の人物を操作することになっている。
そしてなぜかどのルートでも私の兄たちを何かしらでサポートしている存在になぜこんなBLゲームの世界でお相手がいないのかと思うほど可愛い男の子がいる。
ヴァルドよりさらに小柄で、天使みたいな笑顔や高く柔らかい声でしゃべる割に笑顔で悪魔な発言をするルイスという男の子だ。
ちなみに彼とは今すでに接点を持っている。
そしてルイスも私に興味を持ってくれているけれど、微妙に恋人に発展しないという不思議な感じだった。
可愛い顔して過激なルイス。
疲れた時はそんなルイスの可愛い顔に癒されに行くのが私の日課になっており、私はクラウドライン家についた後、「疲れたからもう休む」と言い残し部屋に戻った。
そしてすぐさまブランに捨てようとしていたところ理由をつけて譲ってもらったブラウスとズボン、さらに貴族令嬢らしい長い髪を包み隠すためのキャップをかぶり、外出準備を済ませる。
どうしてそんな恰好なのかというと女の子の一人歩きはとても危ないため、外出は男装でしているというわけだ。
こうしてさっさと手慣れた感じで準備を終えた私は隠し通路を通り愛しいルイスの元へと繰り出すのだった。