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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
27/115

第27話

ルイスに朝一から弄ばれた私は店の準備があるルイスではなく学校のないドレッドに屋敷まで送ってもらっていた。


「で、本当にここまでで良いわけ?必要であれば俺が連れ出したとか適当に説明してあげるけど……。」


私の部屋へとつながる隠しルートの出口の近くで私がいないことで騒ぎが起きているのではと心配して提案をしてくれるドレッド。


とはいえいつも休日は9時ぐらいまでは部屋から出ない為相当な問題がない限り部屋に誰も近寄らないと思う。


まぁ、昨日ラーヴェンの小屋が爆発したことで街はちょっとした騒ぎにはなって入るけど、町はずれにある我が家までその騒ぎのせいで騒がしくなっていることはないと思う。


むしろドレッドの提案に乗っかってしまうと逆にドレッドと恋仲なのかとか面倒な誤解が生まれそうでそっちの方が面倒くさい。


なんて思っていた時だった。


「でも多分、俺の案を採用することになると思うなぁ。」


ドレッドがため息をつきながら苦笑いを浮かべながらあきれたような声を発した。


そしてその次の瞬間、いきなりどこから現れたのかヴァルドがドレッドに殴りかかっていた。


もちろん手練れのドレッドは手負いの状態だからと言えど簡単に奇襲を受けるような人間ではない。


殴りかかったヴァルドの拳を飄々とした様子でよけて見せた。


「てんめぇ!人の妹をこんな朝早くに、それも人気のない場所に呼び出して何してやがる!!」


ヴァルドは私を自分の背に隠すように私とドレッドの間に立ち、ドレッドに怒りを向ける。


が、私より少し小さいヴァルドの背中に私が隠れきるはずもなく、私の目には楽しそうに笑うドレッドの表情がはっきりと見えた。


(どうしよう。なんだかとてつもなく嫌な予感がする。)


面白くなってきた。


そう言いたそうに笑みを浮かべるドレッド。


悠長に話をしているせいで余計な面倒を引き起こしてしまったらしい。


確かにこれはドレッドが提案してくれた通りに大人しく進めてもらうのがいいのかもしれない。


半分投げやりな気持ちでヴァルドとドレッドの出方を疑う。


するとドレッドが笑顔を浮かべたままため息をついたのち話し始めた。


「嫌だなぁ……。ヴァルドってば本当に鈍感だよね。剣術ばっかり磨いてるから男と女の付き合いがてんで理解できないんじゃないかなぁ?」


嫌みったらしい笑みを浮かべながら楽しそうに語り掛けるドレッド。


単純なヴァルドは見事ドレッドの言葉に怒りを覚え、こぶしを震わせている。


そんな怒りに震えるヴァルドに恍惚とした笑みを浮かべているドレッドは正直気持ち悪いと思うけど、まぁBLゲームの世界だしそういうものなのだろう。


(確かドレッドはドSでもあるけど、同時にドM でもあるのよね……。)


好きな人には痛めつけられたり蔑まれたりすればするほど興奮するというタイプだ。


今まさにこの瞬間はドレッドにとってはご褒美タイムと言える時間なのかもしれない。


顔が見えなくて確認できないけれどヴァルドはおそらく、とんでもない顔でドレッドを睨みつけていることだろう。


「あぁもう、そんな怖い顔しないでよ。可愛い顔が台無しだよ?ヴァルド。」


「なっ!だからかわいいとか男に言ってんじゃねぇよ、てめぇはよぉ!!」


ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらヴァルドをからかうように言葉を発するドレッド。


そんなドレッドの安い挑発に馬鹿みたいに素直に乗ってしまうヴァルドはもうもはや後ろにいる私の事なんてさっぱり忘れているのではないかというくらいドレッドと二人の世界にいっている。


シナリオが変わろうが腐ってもカップリングが組まれている二人だ。


やはり条件さえそろえばそういう空気になるのだなと思いながら軽く後ずさる。


すると一瞬だけだけどドレッドと視線がぶつかった。


まるで「早くいけ」とでも言われているような、そんな気がした。


(なんか私の命を狙ってる人に助けられるって変な気分だけど、お言葉に甘えておこうかな。)


夫婦喧嘩は犬も食わないとはよく言ったものだ。


二人の言い合いにこれ以上関わりたくない私はドレッドの指示のもと足を忍ばせながら隠し通路に入り、部屋へと戻るのだった。

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