第25話
「んんっ……。」
小鳥のさえずりが聞こえ、瞼を開く。
するとカーテンの隙間からかすかに光が差し込んでいるのが見えた。
もう朝のようだ。
(私、いつの間に眠って――――――って、ドレッド!ドレッドの容体は!?)
ベッドに突っ伏して寝ていた私は勢いよく起き上がりベッドの上を見る。
するとそこには包帯がいたるところに巻かれていつつもしっかりと呼吸をしているドレッドの姿があった。
(よかった……。)
生きている。
その事実に安堵した瞬間だった。
私の耳に扉が開く音が聞こえてきた。
もちろん扉の向こうから現れたのはルイスだった。
「おはよう、アリス。昨日君が力を使いすぎて倒れた後、僕が手当てを変わらせてもらったんだ。」
包帯がまかれている状態を説明してくれているルイス。
私が気を失っていたということは当然そういう事なのだろうとはなんとなく思っていた。
そして包帯だらけのドレッドとは違いルイスは傷一つなさそうに見える。
とはいえ一応聞いておかない事には安心はできない。
「……ルイスは怪我とかしてない?」
恐る恐る聞いてみるとルイスは笑みを浮かべた。
「もちろん。」
はっきりと問題ないということを伝えてくれるルイス。
そんなルイスの返答を受けて私はようやく一息付けた気がした。
「ところでアリス、起きたなら一つお願いを聞いてもらえないかな。キッチンにパンと切った野菜を置いてるから適当に野菜をパンにはさんでサンドウィッチを作ってほしいんだ。頼める?」
「うん、もちろん。」
ルイスの言葉に元気よく返事をし、私は急いでキッチンに向かう。
二人の為に愛情をこめて挟むぞ!と気合を入れる。
まぁ、挟むだけだからまずくなることはないわけだけど……
何はともあれ今この瞬間二人の為にできることがあるというのはとても嬉しいことだと思った。
(あ、でも待って。とりあえず今の時間だけ確認しておかなきゃ。)
一応何かあった時の為に潜入計画は週末の夜に決行したから今日学校はない。
だけどもちろんの事ながら夜にこっそりと抜け道から抜け出しているため抜け出していることがバレないようできるだけ早く帰らなきゃいけない。
ということでキッチンにつくなり私は時計を探し、現在時刻を確認する。
現在の時間は5時47分。
(……8時までに戻れば大丈夫かな。)
意外とまだ朝早い時間で安心した私はルイスが用意していてくれた材料でサンドウィッチを作り始めた。
そう――――――
「……さて、起きてるよね君。アリスの能力の事でだ~いじなお話があるんだけど。」
私がいなくなった部屋で目を覚ましたドレッドとルイスが私の能力について大事な話し合いをしていたということも知らずに。




