第24話
「とりあえずタオルと着替えの用意はしたからあとは……」
ルイスの家に無事に戻った私は二人が家に戻ってきたときにすぐに様々な対応ができるよう準備をしていた。
まず何より雨脚が私がルイスの家についたあたりでゲリラ豪雨と言えるほど勢いが強くなった。
恐らくずぶ濡れの状態で帰ってくると予想できた私はタオルと着替えを用意したというわけだ。
後は――――――
「……ストーブ。」
春先とはいえまだ少し寒い日があったりする。
そのおかげでまだ薪ストーブ用の薪にストックがあるのを確認し、薪をストーブに入れ込む。
だけどあんな爆発を見てすぐなのだ。
私は火をおこすためのマッチを持つ手を震わせていた。
(しっかり、しっかりするのよ、私!!)
間違いなく体温が下がった状態で戻ってくると思われるルイスとドレッド。
そんな二人のために少しでも部屋が温かい方がいいに決まっている。
火が怖いという感情が込み上げてくるけれどそれ以上に二人の為にできることがしたいと思い私はマッチで火をおこし、薪ストーブにくべた。
そして無事にストーブがついたのを見るとホッと一息つき胸をなでおろした。
そんな時だった。
1階の扉が開く音がかすかに私の耳に届く。
(ルイス、ドレッド!!)
二人が帰ってきたのかもしれない。
そう思った私は用意していたタオルを手に取り、階段を駆け下り1回の店舗スペースへ急ぐ。
そして思った通りそこにはルイスとドレッドの姿があった。
二人の姿がある事に一瞬安心するも、その安心は一瞬で消え去る。
ルイスは煤だらけになりつつも特に目立った外傷は見えない。
けれどドレッドはひどいやけどや切り傷など目立つ外傷が体のそこかしこに見受けられる。
私は急ぎ二人に駆け寄った。
そしてすぐさまドレッドに力を使おうとするも何故かルイスに手を掴まれ制止される。
「治療は2階で。理由は聞かないで。」
真剣な表情に真剣な声色で語り掛けてくるルイス。
本当は今すぐここでドレッドを治療したいけれど今は議論している暇はない。
私はルイスと共にドレッドをストーブで温めた部屋に運んだ。
そしてルイスは部屋に入ってドレッドをベッドに寝かせるなり部屋中のカーテンを閉めた。
「いいよ、アリス。」
カーテンを閉め切ると治療の許可が下り、治療を始める。
正直私の癒しの力がどこまで効力がある物なのかわからない。
だけど私は私ができる最大限の治療をしてあげたい。
そう思いながら一生懸命力を使った。
そして少しばかり力を使いすぎてしまったのだろう。
ドレッドの傷がふさがり、やけど跡が薄れていくのを確認した私は
自分でも自覚がないままゆっくりと眠りについたのだった。




