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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
21/115

第21話

「取り引き……?」


ドレッドの提案を聞き私は目を丸くして驚く。


そんな言葉が出てくるとは欠片も思っていなかったのだ。


こう言っては悪いけれど闇ギルドの人間というだけで強請るネタを見つけたら

脅しにかかってくるのだと地味に身構えていたからだ。


一体私と何を取引したいというのだろう。


「ヴァルドに俺と寝ちゃったって嘘ついてよ。」


「なっ……!できるわけがないでしょ!!!」


一体何を言うのかと思えばどっちにしろ面倒なことになりそうな提案を笑顔でしてくるドレッドに私は顔を赤く染めながら怒号をあげる。


それだったら普通に媚薬を王子に盛られて人に迷惑をかけたと素直に自白したほうが幾分もマシだ。


死なばもろとも、元凶も巻き込んでやる。


なんて思っているとドレッドは「冗談冗談」と訂正を入れてきた。


「本当の取引の内容はこっち。あの夜の事は誰にも他言しないし今後この件で君にちょっかいはかけない。だからヴァルドに今王室からもらってる依頼は断ってもらえるよう説得してほしいんだよね。」


笑顔を浮かべながらも落ち着いた声でどこか切なそうに語るドレッド。


その姿を見て私はある事を思い出した。


(もしかして依頼って、アレ?)


確か闇ギルドとは別に闇に存在する組織で原作ではテロ組織として出てくる「ラーヴェン」という組織がある。


ラーヴェンはこの世界の破壊神と呼ばれる存在で、世界が不浄に満ちた時世界を破壊すると言い伝えられている。


名前から察するに理解できるだろうけどラーヴェンのメンバーの活動目的は世界の破壊。


裏で極大魔法の研究をし、世界を再構築しようと考えているとか何とか。


そしてそのために邪魔な存在をひそかに処理しているとの噂を聞いたことがある。


特に噂では聖女と呼ばれる存在を探していて、その子を殺そうと躍起になっているとか。


(で、今回はラーヴェンの支部を襲撃するっていう任務で、実はお父様がラーヴェンのせいで死んだことが結果的にだけど解る任務になっていて、ドレッドはそれをヴァルドに知られたくなくて参加させたくない―――ってやつだったっけ。……お父様を殺したのはほかでもない、当時何も知らずに駆り出されたドレッドなのだから。)


原作を知っているからこそなのかもしれない。


目の前にいる人物が父親の死に関わっていると知ってもその運命は誰かによって考えられ、彼の意思で行われたものじゃないと理解できる。


だから自分の父親の死に他人事で悪いけれど私はドレッドを恨んだり、憎んだりしていない。


そもそもドレッドはヴァルドが自分が初めて殺してしまった人間の息子だという事実をはじめから知っていた。


そしていつか全力で憎まれて殺されたいと思っている。


単純にヴァルドという個体に興味を持っているようにも見えるけど、それ以上にヴァルドがお父様の死を事故ではなく事件と疑っており、未だに手掛かりを探していることでドレッドはヴァルドに興味を持ち始めた。


自分を追う人間はいったいどんな人間なのかと。


全力で憎まれて殺されたいのなら今すぐにでも自分がヴァルドや私の父を殺したといえばいいものをそうしないのはおそらく、ドレッドはヴァルドを少なからず思っていて、殺されたいけどまだ離れたくないというそんな気持ちから覚悟が決められないからだった気がする。


だけど今回の王室の任務でヴァルドは「事故」でなく「事件」と知り、ここからはラーヴェンに関する任務を積極的に請け負い、結果的にそう時間がかからずドレッドの元へたどり着く。


で、好感度が低いとヴァルドがドレッドを殺しBADエンド、高いとドレッドの事を理解したいということでシナリオ続行という流れになるわけだが……


(あ、私のせいでBADエンド行きそう。)


残念ながら今のヴァルドはドレッドへ向かうはずだった好感度を私に向けている。


今事実に近づけば間違いなくドレッドが死ぬことになる。


(……原作を知ってるからこそ憎めないのよね。)


本当はドレッドはとてもとても寂しがり屋の悲しい子だから。


「ドレッド、貴方は一つ勘違いをしているわ。まず王室からは「依頼」ではなく「任務」として請けているの。断ることは不可能よ。だから別の方法にしましょう!貴方にとっておきの秘密を教えてあげる!だから私の秘密をあなたが利用して、貴方の望みが叶うように頑張ってみるっていうのはどうかな?」


シナリオ継続にならないであろう理由は私に大いにある。


それは遠回しに言えば私がドレッドを殺すようなものになる。


そうならないように私ができる事。


うまく利用してくれるかはわからないけれど私はとある案を思いついたがために

すこし賭けではあるけれどちょっぴり危険な提案をしたのだった。

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