第20話
(真意……真意……)
馬鹿王子に言われた通り私はとりあえず何故私を惑わすようなことをルイスが言ったかということを昼休み、中庭にある東屋で昼食をとりながら考えてみていた。
「アリステラ、こ~んなところで何を悩んでるのかなぁ?」
「掘られたかほられてないか。」
「え……。」
ぼぉっと考え込んでいた私は突然やってきた遊び人のドレッドが眼中になさ過ぎて投げかけられた言葉にひどく素直に答えてしまう。
そんな私の返答にドレッドは青ざめた表情で後ずさるというドン引きさをみせていた。
「え、何、アリステラちゃん実は男だったの?初耳~……」
ドン引きしながら予想を口にしてくるドレッド。
その様子を見て「しまった」とひどく後悔するがもう遅い。
流石BLゲームの世界。
言葉の意味が理解されるのがつらい。
とにかくごまかさなければと口から出まかせを言ってみることにした。
「な、何の話?昔屋敷の庭に宝物を埋めたんだけど、埋めたと思った場所になくて……違う場所を探したほうがいいか誰かに掘り返されちゃったかなぁって話よ。」
「あ、なんだ、そういう事かぁ。」
一安心といわんばかりの笑みを浮かべるドレッド。
安心される理由もわからないけどね。
「とにかく私は考え事で忙しいから特に用事がないならそっとしておいてほしいんだけど。」
一応年上ではあるドレッドだけどヴァルドがため口で話すせいか私もため口でやり取りをする。
だから別に令嬢らしさも取り繕わずにストレートに邪魔だということを伝えるとドレッドはニヤニヤしながら抱き着いてきた。
その行動にイラっとした私は抗議しようと声をあげようとした。
だけどそんな私よりも先にドレッドの声が私の耳に届いたのだった。
「一昨日あの後大丈夫だった?男たちに絡まれてたよね。なぁんか危なそうな状態でさ。」
ひどく面白がっているような口調で問いかけてくるドレッド。
私からゆっくりと離れていくドレッドを力強く睨みつけた。
「助けてあげようかなぁとも思ったけど俺、か弱いからあんな大男たち相手になんて無理だなぁとおもってさぁ?」
「見てたなら助けろよ」と言いたいと思ったのか手を差し伸べてこなかった理由を口にする。
だけど闇ギルドのギルド長であるという事実を知っている私はただ単に面白がって見物していただけだと理解した。
「で、君が掘られたかどうのって言ってるじゃん?だからあの後まっ平らな胸のおかげで男の子としてやられちゃったかなぁって……。」
からかうような口調で聞いてくるドレッド。
これが遠からずなところがさらに腹が立つ。
それにこの男はいったい何が目的でこんなことを問いかけてくるのだろうか。
ただの暇つぶしのようには思えず、私はドレッドを睨み続けた。
そしてそれからしばらく、ドレッドは目的を語り始めた。
「ねぇ、俺と取引しない?」
不敵に笑いながら――――――




