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BLゲームの世界に主人公たちの妹として転生した結果  作者: 皇 鸞(すめらぎ らん)
本編
14/115

第14話

「好きな人に言われたんです。もし私が男だったらタイプだったって。」


昨晩ルイスと別れてから延々と考えている悩み。


その悩みの解決のために人の意見が欲しい。


そう思った私はクラウス王子に問いかけてみることにした。


「あの、これってもう望みがないと思いますか?」


なんとなくそうい事かもしれないと思いつつもそうだと煮え切れないでいる私は

どうとらえればいいのかの判断を他人であるクラウス王子に委ねる。


すると質問した相手が悪すぎたことに遅れて気づく。


「そうだね、無いと思うから私と結婚すればいいと思うよ。」


悩んでくれる素振りも見せずあっさり自分をお勧めしてきやがったのだ。


完璧な王子を演じるなら寄り添うそぶりくらい見せてくれないものか。


なんて思いながらなんとなく気まずくなり私はシャンパンを口に含んだ。


その瞬間だった。


「で、私との婚姻を嫌がる理由はそういうことだと思っていいのかな?」


両肘をテーブルの上で立て、指を組み口元を隠しながら訪ねてくるクラウス王子。


目、声から口元は見えないけれど笑っていないことを察することができる。


そんなクラウス王子の様子に「気合を入れなくては」と思わされてしまう。


きっとここからは一つの返答が命取りになりかねないやり取りになるである事を察することができたからだった。


(さて、どう答えるべきか……。)


先ほど言った通り「想い人がいる」ということは婚姻を拒む理由にならない。


恐らくヘタを討てばここに付けこまれるだろう。


返答はしっかりと考えてしなければと覚悟を決める。


「はっきり申し上げます。クラウス王子、不敬罪と言われようと何と言われようと私は貴方とは死んでも結婚したくないほどあなたが嫌いです。」


「想い人がいる」というのを理由にしたことに対し付け込まれないよう別の理由を用意する。


人によっては返した返答の方がアウトでは?と思うかもしれないけれどクラウス王子は裏表のない本心で話す人間を面白いと思うタイプだ。


たぶんここまで言えば拒んでいる理由として多少理解してくれるのではないかと思い反応を待っているとクラウス王子はにっこりといちど笑みを浮かべるとその次の瞬間、人が変わったように冷たい真顔に表情を変えた。


「正直私もお前が目障りだよ、アリステラ。」


「嫌い」と言われたことで取り繕う気がなくなったのか、私の事を「君」ではなく「お前」とよび、明らかな不快感をこちらに向けてくる。


まだこの方が人らしいと思えるほどわかりやすいクラウス王子に少しひるみながらも「いつもよりましだ」と感じていた。


「……でしょうね。私、知っていますよ?王子が私と婚姻を結びたい理由はただ一つ。ヴァンお兄様の永遠の忠誠を得るため、ですよね?ヴァンお兄様は有能。それゆえにいつか裏切られてしまったらご自分の立場が危ぶめられると思っていらっしゃるのでしょう?きっと自分と何のつながりのないお兄様は私と王子が対立したら私の為に動く人だとお考えだから。」


やり合うと覚悟を決めたらあとはもう言葉がスラスラ出てくる。


別に論破したいとかそういう感情はないけれど策略がバレバレだからあきらめろ。


そう言いたくて知っているのだということを伝えてみる。


するとクラウス王子は面白そうに笑みを浮かべだした。


「はっ……そこまで理解していたとはね。それじゃあ何か?私の腹が見えていたお前からしたらそれを知らずに口説いてくる私はとんだピエロだとでも思っていたという事か?」


恐らく普段馬鹿にされることのないであろうクラウス王子。


けれどそれは人前で完璧を完璧に演じれている自信があるからだ。


その完璧を見破った私に少し嫌みったらしく問いかけてきた。


私はその問いに静かに首を横に振る。


「確かに求婚の意図は見抜いていました。でもだからと言って心のこもっていない言葉に対し思うものなど何もありませんでした。嘲笑うことも、感銘を受けることも、全く何も。綺麗にとりつくろわれた見せかけだけのものになど心は動きませんから。」


貴方が私に興味がないように私も興味がない。


それを伝えたくてはっきりと言葉にしてみる。


どうせ二人きりなのだ、言いたいことを言ってやろうと思った私は求婚を受けない理由に「王子の求婚で心が動いたことがないから」と女性らしい返答を返したというわけだ。


まぁとはいえ家紋の事を考えれば貴族義務として普通は――――と持ち出されては正直面倒は避けられないだろう。


けれどそれは別に持ち出されたわけじゃない。


持ち出されたときに考えようと思いクラウス王子の返答を待つ。


するとクラウス王子は突然、かつてないほど大きな声で笑い声をあげた始めたのだった。

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