凄い三人だった
翌日、私がログインすると三人もログインしているようだった。
三人は何やら集まって話している。裏切りの相談だろうか。私は聞き耳を立てるとこちらに気づいたのか、おはようと挨拶をしてきた。
「おはようございます」
私はそう一礼する。
「何を話していたんですか?」
「なんでもないよ。現実の事さ。最近現実で会う時間が少ないからね…。私も息子いるし、ワグマもいるからね…。今は息子たちは遊びに行ってるし暇だからログインしてるけど…」
という。
「…ビャクロさんは?」
「ふっ、独身だ。気楽でいいな」
…。そういうもんなの?
まあ、ある人は結婚は人生の墓場とも言う人はいるが…。それでも私は一応は結婚願望あるぞ。結婚したいなって思うし。相手いないけど。
「でもビャクロさんって結構有名なアスリートじゃ…」
「知ってるのか? ま、普通のアスリートは毎日特訓とかしてるだろうな」
「こいつに限っては持ち前のセンスでやってるからね。特訓してもあまり変わらないことがわかったんだよ」
なるほど、センスでオリンピック優勝とか果たすのかよ…。逆に怖いな。私も運動神経に自信はあるとはいえここまではないかもしれない。
井の中の蛙大海を知らずですかね?
「ま、自分たちの話はこれくらいにして…。ミーミルさん。一つ聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」
「神獣について何か知ってたりしない?」
と、パンドラさんがそう質問をしてきた。
神獣について、か。一応知ってる。話したほうがいいのだろうか。話して裏切られましたってなったらマジで笑えないからな。
だがしかし、この人たちも喉から手が出るほど神獣が欲しいんだろう。もしかして近づいてきた本当の目的ってそれか?
「…知っているといったら何をしますか?」
「そうだなぁ…現実世界でお金を上げる、とか? ワグマから」
「私よね…」
「私の両親も稼いでくるんでいいですよ。それは」
ワグマさんの顔ってやっぱ見覚えがあるんだよなー。
前にテレビで阿久津家の人の放送をしてたんだけどやっぱその人に似てるんだよ。他人の空似かもしれないけど…。
うーん。聞いてみるか。
「ワグマさんってあの阿久津家の人ですか?」
「ん、そうよ。阿久津 月乃。今の阿久津家の代表ね」
…すごい人だった!?
この人たちすごい集団だな!? 有名アスリートに世界的に有名なお金持ち…。なにこのいいところだけ集めましたよって感じの人たち。私じゃ絶対太刀打ちできないでしょ現実でも…。
あれか? 阿久津家の人には下手に出てた方がいいのか?
「…阿久津家の人には下手に出てた方が生きやすいのかな…」
「お、もうそれを悟った? わかってるじゃん」
「あんたねぇ…。別にいいわよ。教えてくれなくてもどうともしないわ。ただ金持ってるだけよ。それ以外は普通の人と何ら変わりないわ」
「私は運動とこいつらがやること以外興味はないからな。どうすることもできん」
いやいやいや。
うーん。ここは教えておいた方がいいのだろうか。
「ま、教えてくれたら対価は払うよ。そうだなぁ…。見たところ武器も防具もいいの揃ってるし…。お金あげるよ。ざっと6億」
「…そんなに?」
「ま、流石に今は用意できないけどイベント終わったら来て」
という。
「わかりました。それで神獣のことを教えますが…。その前に時間も時間なので森の中に入りましょうか。歩きながら神獣のことでもお教えいたしますよ」
「よしきた。ま、行くか」
「そうね。一応レースの最中だものね…」
忘れていたが本質はレースです。




