スキルゲットした
三日月の家でのバーベキューが終わり、私は家に帰っていた。
楽しかった。久しぶりに誰かと食事をとったような気がするな。父さんたちとは日本に来てからご飯は食べてないし、三日月たちとも最近は食べに行ってないしな。
「ただいま」
家につき玄関の扉を開けてそう言うと、玄関では父さんが立っていた。私を見ているようだ。
「…なに」
「こんな遅くまで何してたんだ」
「別に。友達の家でご飯食べてただけだよ。なに? 今更私の心配でもしてんの?」
そういって父の横を通り過ぎる。
父はそれ以上何も言ってこなかった。今更父親づらすんなよな。心配なんてしてないくせに。私に何か興味失せてるくせに。
ああ、ムカつく。ムカつくからゲームしよ。
私は財布が入ったカバンをベッドに放り投げ、ゲームの機械に寝そべった。
スイッチを押し、起動する。
ゲームにログインするとアマノイワトの拠点内だ。
私はとりあえず外に出ると、満天の星空が広がっていた。綺麗な星空だった。ゲームだとこんなきれいに見えるんだなーって感心しながらも私は平原に出ていた。
「よっし、とりあえず…」
私はレベル上げのために平原に向かう。
平原には爽やかな風が吹いていた。すると、平原のどまんなかに何かが寝ている。何のモンスターだろうか…。見た目は虎のように見える。
私は恐る恐る近づいていくと、そのモンスターは目を開けてこちらを見た。
「ガルルルル…」
と、牙をむき出しにし警戒してきている。
私は戦闘態勢をとった。この魔物は図体がでかい。魔物は起き上がり、私めがけて突進してくる。私は躱そうと右に行くとこちらに軌道を変えてきた。
なかなか賢いっ…!
そして、そのモンスターは私にかじりつこうとしてきた。
私は牙のあたりに掌底を食らわせる。すると衝撃に驚いたのか攻撃を辞めのけぞった。ダメージは与えられている!
そのまま今度は顎のところに潜り込み、強く地面を蹴ってアッパーを食らわせる。メリケンサックが食い込んで、そのモンスターは痛そうに声を上げる。
その時だった。
そのモンスターの周りを黒い靄が包んでいく。目が赤く光り、私を見据えていた。すると、先ほどとは違うバカみたいな速さで距離を詰めてくる。
私はぎり避けたが、この速さはさっきの倍ちかくだ。
それに、私の勘なんだけど何かやばい。攻撃力が増しているような気がする!
危機を感じ取り避けた。
すると、今度は一瞬で距離を詰めてきて、かじりついてきた。脊髄反射でなんとかよけられたが一発でも食らうとやばそうだ…!
喧嘩売る相手を間違えたか。いや、ただ近づいただけなんだけどな。
「ま、こんなとこで死にたくないし戦ってやらぁ!」
どう逃げるかも考えておかなくちゃな。
正直、勝てる気配はない。目の前の虎のモンスターに。攻撃っていってもあまりダメージはなさそうだしこちらの体力が尽きてくるだろうな。
長期戦になることは確実。長期戦だとスタミナがなくなってくるこちらがやばい。
すると、また距離を詰めてくる。
右手を振り下ろしてきたので避けてカウンターを食らわせた。すると、そのトラの攻撃が止んだ。私は今のうちに逃げようと後ろに下がっていくと、虎を包み込んでいた靄が消え、元の姿に戻った。
「ガルッ」
と、その虎は私に笑顔を向けてくる。
《ジキルタイガーに認められました》
というアナウンスが聞こえてくる。
認められた? 何のことだ?
《ジキルタイガーがスキルを教えようとしています。教えてもらいますか?》
と聞かれたので私はジキルタイガーを見る。
すると、ジキルタイガーは先ほどの黒い靄を出していた。
《スキル:闇の二面性 を取得しました》
というスキルが手に入った。
闇の二面性? 説明を見てみると防御力が低くなる代わりに素早さ、攻撃ともに最大までアップするというスキルだった。
魔力消費が5と良心的? 結構強いスキルじゃないか?
《ジキルタイガーはあなたを認め自ら襲ってくることはなくなりました》
《仲良し度を深めればテイムできるかもしれません》
え、ええ…。
テイマーじゃないんだけどな。でも、襲ってくることはなくなったんなら一安心かな。
「ん、ありがとね。タイガー」
「ガル」
なんていうか良き友達みたいなポジションか?